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連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百七十四回 飽和絶滅の危機 その十八

ほやのきが はげしくしげる そのはてに さくらほろびて ともにつひゆる
(ほやの木(宿り木)が激しく茂るその果てに桜(宿主)滅びて共に潰ゆる)


分割統治(Divide and rule)といふ言葉があります。


これは、「分割して支配(統治)せよ」フランス国王ルイ11世の言葉に由来する支配統治技術とされてゐますが、元来は、古代ローマ帝国の支配地域における統治術のことです。


支配者に対する敵愾心を分散させ、被支配者の連帯よりもローマへの忠誠心を生み出すために、広域多民族国家の古代ローマ帝国における統治技術でした。


異民族統治においては、イギリスのインド統治などの植民地統治に用ゐられ、国内統治においては、選挙(都市票と農村票の分離)、労働組合(第1、第2組合の分裂)など、対立の契機を含んだ複数集団の相互牽制による制御に利用されてきました。

これは、民族、歴史、文化、宗教、教育、経済的利害などの対立、分裂、抗争などを、支配者と被支配者といふ上下の二項対立から被支配者同士の水平的な複合的対立に目をそらせ、支配者に向けられる被支配者の抵抗や反感をなくし、むしろ、被支配者集団が対立する他の被支配者集団を抑圧して被支配者の社会における主導権を握るために、支配者にすり寄つて、対立する被支配者集団を弾圧するために、被支配者同士が支配者に対する忠誠心の競争をさせることによつて被支配者社会の勢力を均衡させ、支配を安定化させる巧妙な手法です。


つまり、これは、国家レベルだけでなく、ある者が絶対的な支配を行ふにあたり、被支配者を分割することで支配を容易にする手法であり、被支配者同士の対立、抗争を助長して近親憎悪をかき立てさせて、支配者に対する反感や抵抗を緩和し、被支配者の連帯性を弱めて、統治者に抵抗の矛先が向かうのを避けることができるのです。


その視点からすると、NHKが令和3年5月16日(21:00~21:50)に放送した、NHKスペシャル「ビジョンハッカー~~世界をアップデートする若者たち~~」は、国際オロチの尻尾であるビル・ゲイツによる分割統治の方法を容認して絶賛する提灯持ち番組だつたと言へます。


グローバル資本主義、賭博金融資本主義のインフラを築いたビル・ゲイツの「やうに」、社会のシステムを根本から変へやうといふ若い世界の世代(ビジョン・ハッカー)に期待を寄せる内容の番組でしたが、登場してきた若者といふのは、スマホなしには生きて行けない、極めて脆くて危ふひ世代なのです。


環境、教育、格差などの問題に対して、具体的な改善に取り組む姿勢は評価できますが、すべては国際オロチの掌で踊つてゐるといふ視点に気付いてゐません。


ビル・ゲイツからは、ビジョン・ハッカーに対して、お褒めの言葉が贈られます。


「社会の大きな不公平に立ち向かふのは本当にすばらしい」と。


そして、ビル・ゲイツは、平成27年3月の、TED TALKでの発言で、「1000万以上の人が亡くなるやうな災害が起こるとすれば、それは戦争ではなく、強力なウイルスが原因となる。」と語り、15年前の平成12年に、「すべての人の平等」を掲げたビル・ゲイツ財団を設立したのは、アフリカの格差社会を見たからだと言ひました。


「私は、アフリカやインドで数百万人の子供たちが防げるはずの感染症で死んでゐることを知つた。貧しい国の子供たちにワクチンを接種できるやう公衆衛生を広めなければならないと痛感した。」と語つたのです。


感染症による死亡者数は途上国が96.6%を占めるといふ現実からすれば、多くの人は、ビル・ゲイツが善人に見えるし、そのやうに欺されてゐるのです。


しかし、これは、これまで何度となく説明しましたが、ビル・ゲイツは、財団設立から10年後の平成22年1月、ダボス世界経済フォーラムにおいて、開発途上国の子供向けに感染症ワクチン開発(子宮頚がんワクチン含む)に今後10年間に100億ドル(約1兆円)規模の投資を行ふと発表し、同年2月にも、ビル・ゲイツの傘下にあるビル&メリンダ財団を通して世界中にもつとワクチンを送り込み、新たなワクチンや医療、生殖健康サービス(要するに中絶推進)を本当にうまく使へば、世界の人口を10%から15%程度は減らせるとの希望的予測を発言して、自己の本音を吐露したのです。


感染症で死ぬ発展途上国の子供を救ふためと称するワクチンは、人口を10%から15%減少させるために開発され普及するといふのは、明らかに矛盾した発言です。


グローバル金融賭博のデジタル資本主義による世界最大の矛盾が吹き出した現象が、この犯罪的格差にあるとすれば、これを是正するには、小さな規模での改革や救済の積み上げでは不可能です。公共性、公益性の実現のためには、民主主義といふエゴの総和で決することの限界があります。


しかも、ビジョン・ハッカーは、ビル・ゲイツの致命的な偽りを知らないまま、これに縋つて踊つてゐるのです。知つてゐても、決して、ビル・ゲイツを批判することはしません。こんな番組を企画して報道したNHKもまた、ビル・ゲイツの配下になつたといふことです。


問題解決の方途が見いだせない、こんな袋小路に追ひ込まれたままでは、デジタル金融賭博資本主義を操る国際オロチには到底対抗できません。その制度を解体的に修正させることができないままであれば、まづはその嚆矢として、国際血盟団が行ふ上昇テロしかないのかも知れません。


これまでのイスラムテロとかの宗教テロは、結局のところ、水平テロです。世界の支配者に向けられたテロではなく、宗教対立する民間人同士の水平テロの連鎖であつて、これもまた分断統治の成功例なのです。


そして、これと同様の手法によつて、国際オロチは、世界の統治者として、その僕にあるビル・ゲイツにより、犯罪的格差への批判の矛先を、世界の支配者である国際オロチに向けさせることなく、ビジョンハッカーといふ、いかがはしい響きのある若者集団に資金援助して、各国政府を攻撃させるのです。


つまり、世界の支配者である国際オロチからすれば、各国政府の与党勢力も、その批判勢力である野党勢力などの反政府運動勢力はもちろんのこと、ビル・ゲイツの掌でスマホを持つて踊り続けるビジョンハッカーも、すべては被支配者なのであつて、被支配者同士を戦はせ、ビジョンハッカーなるものに資金を援助してその勢力を大きくすれば、被支配者同士の力の均衡が実現して、国際オロチの支配が安定するといふことなのです。


そして、この分断統治の手法は、米中対立といふ体制戦争にも応用されてきました。

この対立を生み出すためにロシア革命にレーニンなどへの巨額の資金提供と破格の待遇を提供した国際オロチが依拠した思想は、イルミナティの思想です。イルミナティとは、ラテン語で「開化」、「光に照らされた者」の意味です。アメリカ独立革命宣言がなされた1776+660年、ドイツ・バイエルンで、アダム・ヴァイスハウプトが世界統一政府(ワン・ワールド)構想を打ち立て、世界リセット計画(人類5億人、選ばれたイルミナティ1000万人、その他は家畜と奴隷)の実現のために世界の動乱を引き起こします。


その計画のために、フランス革命やロシア革命を誘導し、米ソ冷戦構造を作り出して、死の商人として双方の軍拡を推進させ、多くの局地戦を引き起こさせ、巨額の利益を得ます。ところが、ベルリンの壁の崩壊を契機として欧州での冷戦構造が崩壊して、米ソ対立による分割支配が終はり、アメリカ一強支配に移行することになつたものの、アメリカ一国で世界全体を支配できず、却つて極地紛争が頻発して世界が不安定になつたことから、今度はソ連に代はる二項対立の勢力として中共を育て上げて、世界の分割統治の再構築を図つたのです。


いま、国際オロチは、支那共産党(Chinese Communist Party CCP)が支配する国家(中共)は早晩崩壊すると予測してゐます。習近平の人治は、習近平の死とともに終はります。しかし、その終焉が先であればあるほど、国際オロチの分割統治は安泰なのです。


習近平の人治といふのは、一国社会主義を唱へたスターリン主義の再来です。そして、一帯一路構想といふのは、革命の輸出を目指したトロツキーの永続革命論の亜流政策なのです。ソ連では、抜き差しならない過激な政治的対立を生んだスターリンとトロツキーとが、習近平の中共では思想的に融合したのです。


共産主義理論は、唯物史観による革命への自然法則として資本主義が成熟すれば歴史的必然性により、欧州での革命が先行して世界的な共産革命に至るとするのがマルクス、エンゲルスの理論でしたが、これを一足飛びに、ロシアといふ資本主義を経てゐない封建主義国家のロシア一国でも先行的に共産主義国家の建設が可能だとしたのがスターリンの考へ方でした。それによつて中共は建国されました。


それは世界革命の放棄であると批判したトロツキーでしたが、「複合的発展の法則」といふことを説きました。これは、後進国では先進国の発展をただ単純に後追ひして繰り返すのではなく、先進国の進んだ技術や思想を取り入れることによつて、飛躍的な発展が可能であるといふ見解でした。


毛沢東によつて建国された中共は、鄧小平によつて、複合的発展の法則を採用し、一国二制度といふことを編み出したのです。これによつて中共は現在の基礎を築き、習近平の人治が完成したのです。この毛沢東、鄧小平、習近平といふのは、わが国で喩へれば、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と言つたところでせう。


いづれにせよ、国際オロチは、中共が習近平の人治政権であることから、ポスト習近平の中共は確実に不安定化すると予測してゐます。デジタル技術を全国的に張り巡らせて効率的に独裁政権を維持することによつて、スターリン主義による統治を完成させたとしても、習近平には後継者が居ません。徳川政権とは全く違ふのです。それは、北朝鮮の金正恩も同じです。人治の帝国は必ず崩壊します。それが支那の歴史です。


しかし、さう簡単に中共が混乱して、アメリカ側を勝利させることは、国際オロチの分割統治のシステムが機能しなくなるので、中共を限りなく延命させることになります。


米ソ冷戦構造が、ベルリンの壁の崩壊を契機として終焉した後、アメリカ一強支配になつたために、却つて世界が混乱したことから、分割統治の新たな再構築が必要になり、やうやく米中対立による分割統治に漕ぎ着けたのですから、さう簡単に米中の体制対立を終はらせてはならないのです。


国際オロチから見ると、アラブの春に始まる民主化運動といふのは、独裁政権を打倒して内戦を誘発させる道具として用ゐてきましたが、その後の混乱を終息させる方法がないために、中共にして見れば、民主化は天安門事件と同様に混乱を招く元凶であるとして、徹底した強権政治へと突き進みます。そして、それを可能とするのか、情報の完全支配です。


情報の支配こそが世界制覇の手段であり、昭和35年、アメリカ思想家テッド・ネルソンのザナドゥ計画の構想により、すべての情報がコンピュータネットワーク上に収集すると予測したとほり、平成11年に、中共人民解放軍の2人の大佐による「超限戦」の構想により、いまや、6軍時代(陸、海、空、電、天、脳)となつて、世界の支配争奪戦争に突入しました。「電」とは、サイバー空間、「天」とは宇宙空間、「脳」とは、マイクロ電子チップを人間の脳に移植して完全にロボット化して制脳する人類脳空間のことです。


国際オロチとしては、中共による一帯一路構想も、国際通貨としてのデジタル人民元も、東シナ海、尖閣及び沖縄などを侵略する領土膨張政策も、ワクチン外交も、さう簡単には実現させないやうにして、急速な少子化、老齢化、人口減少、自然環境悪化などによる将来における国力の急激な低下が予測されるため、危機的な焦りによつて無理な軍拡等を続ける中共の限界を見越しながら、武漢ウイルスに続いて、さらに新たなコロナウイルス(コロナ2021)を開発して細菌兵器として使用しうる中共を容認しながら、米中の均衡を続けさせて中共を延命させて行くのです。


わが国は、マッカーサーの掌の上で、やれ護憲だとか、やれ改憲だとか、余りにも軽薄に騒いで釜中の魚であることの自覚すらないのは、国際オロチの分割統治がいまもなほ見事に成功してゐるためなのです。


わが国では、国内はもちろん、国際社会における国際オロチの分割統治の実態を全く認識できずに、オリンピックに現を抜かし、与へられたワクチンを有り難がつて、国中がこのことしか話題にしないといふ為体です。さらに、北海道羊蹄山の山麓の森林(東京ドーム60個分)は中共企業が買収するなど、北海道のみならず全国の土地が中共に買収され、いづれ北海道は32番目の省になると放言することを黙認し、孔子学院の活動を野放図に放任してわが国を浸食し続ける中共の世界征服の謀略に目をつぶり、国内における些末な問題しか眼中になく、殆どの人がこの大きな危機と矛盾に気付いてゐないのです。



南出喜久治(令和3年7月1日記す)


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