國體護持總論
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著書紹介

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思想戰爭の結末

お互ひに不倶戴天の敵として世界的な思想戰爭を戰つた場合、その結末は嚴酷である。戰勝國としては、敗戰國の報復を恐れ、敗戰國が再び報復的に戰ひを挑むことができないやうに征服して壞滅させるか、あるいは徹底的に敗戰國を弱體化させることになる。そして、その口實として、戰勝國の思想の方が敗戰國のそれよりも絶對的に優越性があることを自畫自贊して宣言する。現に、連合國は、昭和十八年(1943+660)十一月二十七日の『カイロ宣言』(資料二十三)において、我が國が遂行した今次の戰爭の全てを侵略戰爭とし、その「侵略を制止し罰する」ことを連合國の戰爭目的であると位置づけて、連合國の思想戰爭の正當性を宣言した。ただし、このカイロ宣言は正式には成立してゐなかつたことが事後に明らかとなつてゐるが、力こそが正義であるとする連合國からすれば、そのやうな批判はどうでもよいのである。そして、我が國は、その敗戰の結果、東亞百年戰爭で獲得した全ての領土(臺灣、韓半島)を剥奪されるといふ制裁措置の外に、『日ソ中立條約』(昭和十六年四月十三日締結、有效期間五年)を無視したソ連の宣戰布告(昭和二十年八月八日)により領土(千島列島、南樺太など)を略奪され、さらに六十萬人を越える皇軍將兵がシベリアに抑留され、同地で開拓勞働の強制と虐待を受け、そのうち多くの者が不歸の客となつた。しかも、この條約無視によるソ連の參戰については、連合國が『テヘラン首腦會議』(昭和十八年十一月)で事前共謀し、昭和二十年二月十一日の『ヤルタ密約』(資料二十一)で密約してゐたことなのである。戰爭による相手國の領土割讓を全て否定するのであれば理論的一貫性があるが、その當時、未だに歐米の東洋侵略の象徴である香港などの植民地が世界に存在してゐたことや、我が國固有の領土を侵犯する行爲を黙認・許容している國連體制に世界的な正義などあらうはずもない。連合國は、『日ソ中立條約』を共謀して違法に破棄しておきながら、GHQの軍事占領下で成立したとする占領憲法第九十八條第二項で、「日本國が締結した條約・・・・は、これを誠實に遵守することを必要とする。」として片面的に押し付けるのは「確立された國際法規」に明らかに違反する思想的報復措置なのである。

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