國體護持總論
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占領統治における占領態様

ところで、この占領統治の基本的な性質については、「占領態樣」と「法的性格」の二つの側面を考察する必要がある。

まづ、「占領態樣」についてである。これは連合國軍(米軍)の「直接占領」、「全面占領」であり、統治態樣については「間接統治」を原則とするものの、極東國際軍事裁判(東京裁判)、昭和二十年九月十日の『言論および新聞の自由に關する覺書』による同盟通信、朝日新聞及びニッポン・タイムズに對する發行禁止、同年十月一日の『郵便の檢閲に關する覺書』による郵便の檢閲、昭和二十二年のいはゆる「二・一ゼネスト」の中止命令などについては「直接統治」であつたことになる。つまり、GHQの「命令と承認」に基づき我が政府が傀儡政府となつて「統治」するといふ形態である。このGHQと我が政府との關係は、占領憲法における内閣と天皇との關係と相似してゐる。つまり、GHQの「命令と承認」によつて我が政府が統治行爲を行ふといふ「間接統治制」は、内閣の「助言と承認」によつて天皇が國事行爲を行ふといふ「傀儡天皇制」と相似した關係にある。ただし、原則としての「間接統治」、例外としての「直接統治」といふのは、我が國の本土に限つてのことであり、沖繩縣や小笠原諸島などについては、例外なしの「直接統治」であつた。

そして、占領統治に必要な經費は、戰後賠償の一部として、「終戰處理費」といふ豫算名目で我が國が負担することとなつた。

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