國體護持總論
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著書紹介

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廢止と改正

次に、「廢止」と「改正」とは、立法行爲(占領憲法制定)を「有效」とした上で、事後にそれを消滅させ(廢止)、あるいは變更(改正)する立法行爲である。これは、いづれも占領憲法を有效とすることを前提とする點において共通する。條項的な變化としては、前者は全部削除、後者は一部削除と一部追加である。

また、「廢止」と「改正」は、その立法行爲を行ふことの理由があることが普通であるが、その理由は何であつてもよい。内心は、押し付け憲法であるといふ愚癡であつてもよいし、氣に入らないからといふ氣まぐれでもよいし、表向きは、時代に對應できないといふ現實論であつてもよく、特に理由は限定されてゐない。否、理論的には何らの理由も要らないのである。

そして、この「廢止」とは占領憲法の全否定であり、この方向と對極にある理念が占領憲法の「護憲論」である。その護憲論(似非護憲論)には、占領體制を占領憲法のまま完全に維持するとの「反改憲的護憲論」(改正反對護憲論)と、占領憲法を修正しつつ、あくまでも占領體制の基本を維持するとの「改憲的護憲論」(改正贊成護憲論)がある。いづれも占領憲法信奉論者の見解である。

なほ、「廢止」した場合、帝國憲法に復元するのか、新たな成文憲法を制定するのか、あるいは成文憲法を制定しない状態(不文憲法)とするのかといふ點について、「廢止」の際に確定しなければならないことは「破棄」の場合と同じである。

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