國體護持總論
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著書紹介

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占領憲法の無效理由の概要

規範國體の最高規範性、根本規範性からして、GHQの完全軍事占領下の「非獨立」状況で制定された「日本國憲法」といふ名の「占領憲法」は、規範國體に違反してゐるので、最高規範及び根本規範としては無效である。つまり、少なくとも、その名稱とは無關係に、正統憲法に屬する規範ではないといふことである。

そもそも、占領憲法と占領典範の制定は、東京裁判(極東國際軍事裁判)の斷行と竝び、我が國の解體を企圖したGHQの占領政策における車の兩輪とも云ふべき二大方針として敢行されたものであり、それがいかなる論理や手續によつたものであつたとしても、占領憲法と占領典範の無效性は、これが最高規範、根本規範である規範國體に違反することだけで必要かつ充分な根據となるのである。

私見によれば、占領憲法は、國内系の正統憲法としては認められないが、帝國憲法第七十六條第一項により、國際系の講和條約の限度で認められるものである。つまり、端的に言へば、占領憲法は憲法としては無效であり、講和條約の限度で認められるといふことである。その理論的な説明の詳細は次章に讓るが、本章では、占領憲法の無效性を中心に述べ、講和條約として評價できる點についてはその骨子を概觀するに留める。そして、これらの理論體系に必要となる法令上の主要な根據としては、帝國憲法の第十三條(宣戰大權、講和大權、一般條約大權)、第七十三條(憲法改正の發議大權と改正手續)、第七十五條(憲法改正禁止條項)、第七十六條第一項(適正法令の評價規範)であり、さらに、第八條(緊急敕令)、第十一條(統帥大權)などであることに注目されたい。

無效理由については、前に述べたとほり、國體論、主權論、成立要件論、效力要件論、有效説批判の五つに分類されるが、要素還元的に論述することが困難であることは占領典範の無效理由の場合と同じである。また、占領憲法の無效理由は、占領典範の無效理由と共通する點も多く、これまで述べた占領典範の無效理由に付加する點もある。從つて、以下においては、占領典範と共通する無效理由として重複するものも含めて、事項毎に羅列的に述べることとする。

なほ、前にも説明したが、以下の十三の理由のうち、「無效理由その十二」と「無效理由その十三」の二つについては、占領憲法固有の無效理由であり、その餘の無效理由その一からその十一はすべて占領典憲共通の無效理由である。

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