國體護持總論
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無效理由その六 法的連續性の保障聲明違反

内容的に比較すると、占領典憲は、帝國憲法と明治典範の改正の限界を超えた改正であつて、全く法的連續性がなく絶對的に無效であることは前に述べたとほりである。そして、占領憲法については、昭和二十一年六月二十三日の「帝國憲法との完全な法的連續性を保障すること」とするマッカーサー聲明と比較しても、「完全な法的連續性」を保障した結果にはなつてをらず、改正の限界を保障した同聲明の趣旨に自ら違反してゐる。

ましてや、帝國憲法と同格の明治典範を廢止し、占領典範を法律として制定したことは、法形式においても明治典範と法的連續性がないことは明らかである。

法的連續性といふのは、成立要件要素である合法性と正統性、效力要件である妥當性と實效性のいづれをも滿たすことを意味するが、全くそのやうになつてゐないのである。

GHQの意圖は、單に、手續の形式だけを外觀上完璧に整へさせて、國内的にも國際的にもそれが強制されたものであるといふ實態を隠蔽することにあり、外觀において形式的、手續的に「連續性」があることを假裝できればよいといふものであつた。それゆゑ、發議の敕語、帝國議會の審議と議決、公布の敕語などの一連の形式文書と手續が完璧に整へられてゐるのは當然のことである。これは、完全犯罪を目論む犯罪者の心理と行動に類似したものであつて、この外觀の完璧さは、むしろ實質的に「帝國憲法との完全な法的連續性」がなかつたことを物語つてゐる。それゆゑ、この外觀の完璧さを以て占領典憲の有效性の根據とすることは、完全犯罪をしくじつた者をあへて無罪であると擁護するにも似た愚かさがある。

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