國體護持總論
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無效論の場合における國内法上の責任

では、國際法的には問題がないとしても、國内法的にはどうなのか。

開戰から講和までの一連の國家行爲は、帝國憲法第十三條の宣戰大權と講和大權、同第十一條の統帥大權及び同第十二條の編制大權に基づくものであることはこれまで説明してきた。それゆゑ、占領憲法が無效であるといふ前提に立てば、この問題は極めて簡單である。「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」といふ同第三條の無答責の規定から當然に天皇には法的責任、政治的責任を含む一切の責任はないといふことである。これは、帝國憲法の本質において、立憲君主制か專制君主制かといふ解釋論爭があり、そのいづれに重きを置いて天皇大權の行使の態樣を解釋するか否かといふ問題や、天皇が開戰から講和に至るまでどの程度關與されたかといふ客觀的事實も、あるいはそのときに聖上がどのやうなお考へであつたかといふ内心的事實などとは全く無關係に、法的かつ政治的な天皇の無答責は成り立つからである。

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