本土復歸前の國政參加
本土政府は、沖繩の本土復歸前の昭和四十五年、沖繩から衆參兩院議員を選出させ國政に參加させた。將來の本土復歸の準備として沖繩の民意を本土政府の國政に反映させることにあつた。しかし、これは確かに政治的には意義のあることかも知れないが、果たして主權論からして、どのやうに評價されるのであらうか。
國民主權主義からすれば、沖繩縣民は、琉球政府の主權者であり、かつ、本土政府の國政參加が認められたことにより本土政府の主權者としての地位も與へられたことになる。つまり、二重國籍であり、在外外國人に參政權を付與したことになる。しかし、そのやうな手續は一切なされてゐないし、國民主權主義からすれば、このやうなことを斷じて許してはならないはずである。ここに占領憲法の國民主權論が抱へる第四の矛盾がある。