國體護持總論
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憲法復元措置基本法と憲法臨時代用法

そして、これを踏まへて、帝國議會の代行機關である國會において、正統憲法の復元措置に關する『憲法復元措置基本法』(以下「復元基本法」といふ。)を制定することになる。これは、復元緊急敕令と同格であり相互に補完し合ふ關係となる。占領憲法については、既に述べたとほり、占領憲法制定のための特別の國民議會も開催されず、占領憲法の政府原案が示された後に、その是非を問ふための衆議院解散と總選擧も行はれず、勿論、特別の國民投票もなされずに、帝國議會の形式的審議(翻譯審議)で成立させた經緯からすると、復元基本法を制定するについては、帝國議會の代行機關である國會の構成は新たなものであることが必要となり、衆議院の解散總選擧と參議院の通常選擧の實施後に行はれることになる。

また、占領憲法の無效確認決議といふ政治決議は、國會が帝國議會の代行機關になる以前になすこともできるし、その後に行つてもよい。代行機關として行ふ無效確認決議は、正統憲法の復元措置に關する復元基本法の議決と同時にすることもできるし、復元基本法の制定がそれを兼ねることにもなる。その復元基本法の骨子としては、占領憲法の無效確認と、無效確認に至つた經過を記載し、五年程度の有效期間を定めた暫定的な「限時法」として占領憲法を位置付け、占領憲法の名稱を『憲法臨時代用法』として、ほぼそのままの條文とする。ただし、占領憲法の公布文及び前文をすべて削除し、法文中に「(この)憲法」とあるを「(この)法律(憲法臨時代用法)」と呼稱を變更する。ただし、第七十六條第三項、第八十一條の「憲法」は、そのままとし、これは「帝國憲法」を意味することになる。

これは、講和條約である占領憲法(東京條約、占領憲法條約)が正式には國内法秩序には編入されてをらず、それとほぼ同樣の内容の憲法的慣習法として運用されてきたことを踏まへ、これを正式に國内法秩序に「法律」として、しかも「限時法」として編入するための立法措置である。  ただし、憲法臨時代用法では、次の條項の部分を削除して表記を補正することになる。すなはち、それは帝國憲法と明確に矛盾牴觸する部分と有害無益な部分であつて、以下の條項である。

占領憲法第一條中の「この地位は、主權の存する日本國民の總意に基く。」の部分、第二條中の「國會の議決した皇室典範の定めるところにより」の部分、第四條第一項の全部、第五條の全部、第八條の全部、第九條第二項の全部、第十一條後段の全部、第十二條前段の全部、第十三條前段の全部、第十四條第二項の全部、第十五條第一項及び第三項、第十八條の全部、第二十四條第一項中の「兩性の合意のみに基いて成立し」の部分、同條第二項中の「個人の尊嚴と兩性の本質的平等に立脚して」の部分、第四十一條中の「國權の最高機關であつて、國の唯一の」の部分、第六十六條第二項、第七十六條第二項前段の全部、同條第三項中の「のみ」の部分、第八十八條前段の全部、第九十二條中の「地方自治の本旨に基いて」の部分、第九十六條の全部、第九十七條の全部、第九十八條第一項の全部、第九十九條の全部などであり、これらをすべて削除することになる。

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