國體護持總論
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【資料番號 四十】

日本國とアメリカ合衆國との間の相互協力及び安全保障條約
(新安保條約)昭和三十五年條約第六號

(昭和三十五年六月二十三日公布、同日發效)

日本國及びアメリカ合衆國は、

兩國の間に傳統的に存在する平和及び友好の關係を強化し、竝びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、

また、兩國の間の一層緊密な經濟的協力を促進し、竝びにそれぞれの國における經濟的な安定及び福祉の條件を助長することを希望し、

國際連合憲章の目的及び原則に對する信念竝びにすべての國民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、

兩國が國際連合憲章に定める個別的または集團的自衞の固有の權利を有していることを確認し、

兩國が極東における國際の平和及び安全の維持に共通の關心を有することを考慮し、

相互協力及び安全保障條約を締結することを決意し、

よつて、次のとおり協定する。

第一條 締約國は、國際連合憲章に定めるところに從い、それぞれが關係することのある國際紛爭を平和的手段によつて國際の平和及び安全竝びに正義を危うくしないように解決し、竝びにそれぞれの國際關係において、武力による威嚇又は武器の行使を、いかなる國の領土保全又は政治的獨立に對するものも、また、國際連合の目的と兩立しない他のいかなる方法によるものも愼むことを約束する。

2 締約國は、他の平和愛好國と共同して、國際の平和及び安全を維持する國際連合の任務が一層效果的に遂行されるように國際連合を強化することに努力する。

第二條 締約國は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、竝びに安定及び福祉の條件を助長することによつて、平和的かつ友好的な國際關係の一層の發展に貢獻する。締約國は、その國際經濟政策におけるくい違いを除くことに努め、また、兩國の間の經濟的協力を促進する。

第三條 締約國は、個別的に及び相互に協力して、持續的かつ效果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に從うことを條件として、維持し發展させる。

第四條 締約國は、この條約の實施に關して随時協議し、また、日本國の安全又は極東における國際の平和及び安全に對する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約國の要請により協議する。

第五條 各締約國は、日本國の施政の下にある領域における、いずれか一方に對する武力攻撃が、自國の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自國の憲法上の規定及び手續に從つて共通の危險に對處するように行動することを宣言する。

2 前記の武力攻撃及びその結果として執つた全ての措置は、國際連合憲章第五十一條の規定に從つて直ちに國際連合安全保障理事會に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事會が國際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

第六條 日本國の安全に寄與し、竝びに極東における國際の平和及び安全の維持に寄與するため、アメリカ合衆國は、その陸軍、空軍及び海軍が日本國において施設及び區域を使用することを許される。

2 前記の施設及び區域の使用竝びに日本國における合衆國軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本國とアメリカ合衆國との間の安全保障條約第三條に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

第七條 この條約は、國際連合憲章に基づく締約國の權利及び義務又は國際の平和及び安全を維持する國際連合の責任に對しては、どのような影響を及ぼすものではなく、また、及ぼすものとして解釋してはならない。

第八條 この條約は、日本國及びアメリカ合衆國により各自の憲法上の手續に從つて批准されなければならない。この條約は、兩國が東京で批准書を交換した日に效力を生ずる。

第九條 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本國とアメリカ合衆國との間の安全保障條約は、この條約の效力發生の時に效力を失う。

第十條 この條約は、日本區域における國際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする國際連合の措置が效力を生じたと日本國政府及びアメリカ合衆國政府が認める時まで效力を有する。

2 もつとも、この條約が十年間效力を存續した後は、いずれの締約國も、他方の締約國に對しこの條約を終了させる意志を通告することができ、その場合には、この條約は、そのような通告が行われた後一年で終了する。

以上の證據として、下名の全權委員は、この條約に署名した。

千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

(署名略)

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