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連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百八十四回 反ワクチン・反マスク訴訟 その六

くすりには くすしちからを そなへども いまはさはりの ものとまがへり
(薬には奇し力を備へども今(現代)は障りの物(毒物)と紛へり)


前回予告しましたが、昨日までに木原功仁哉弁護士を原告とし、私が訴訟代理人となつて選挙無効訴訟と供託金返還等請求訴訟を起こしました。これは、木原弁護士の方でも訴状を公開してゐますのでご覧になつてください。


反ワクチン訴訟の訴状もさうですが、私の作る訴状は、やたらに長いと思つてゐる人も居るでせうが、読み物として読んで貰ふために、楽しみながら書いたもので、理解していただけるものと思つてゐます。


法律用語が難しいと思ふ人も居ますが、少し我慢して馴れてくると、解つてきます。世の中で意味不明の文書は、官僚や政治家、裁判官が書く文書です。人に解らないやうに、どうとでも解釈できる玉虫色の文書を難なく書くことを大学で学んでゐたからです。


私は、大学に入つたことも出たこともありませんので、そんな変な技術を持つてゐませんので、解りやすいはずです。学歴なんかはこれまで馬鹿にして茶化してきましたので、私は家業の風呂屋を継いだことを自慢して、ニューヨーク(入浴)大学を出たと冗談を言つたら、学歴詐称をするな!と、これまた冗談で怒られました。

最近は、学歴のことで自慢する人が少なくなりましたが、ある東大出身の裁判官が、自分を東大出身と言はずに「東京の大学を出ました」と言ひました。確かに、東京大学は、東京の大学です。嘘ではないのですが、謙遜なのか傲慢なのか自惚れなのかは解りませんが、これが玉虫色の表現の典型なのです。


さて、それ以外の訴訟ですが、マスク訴訟については、いくつか進展がありました。


まづ、釧路地方裁判所に係属してゐる白糠町の事件ですが、11月8日午後4時にWeb会議で第1回弁論準備期日がありました。この事件も、訴状などすべてを公開してゐますので、ご覧になつてください。


被告側は、議会の自律などを根拠として、裁判所法第3条第1項に、「裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。」との規定によつて、発言停止処分は、「争訟性」がないと主張してきました。


私たちからすれば、この主張は初めから想定してゐた主張でした。


被告は、平成30年4月26日最高裁判所第一小法廷判決で、「県議会議長の県議会議員に対する発言の取消命令の適否は,司法審査の対象とはならないと解するのが相当である。」とする判断を引用して、これまでとほり、「部分社会論」を展開してきました。


部分社会論といふのは、地方議会などの自律性が尊重される団体や組織については、国民全体の全体社会とは切り離して、いはゆる「部分社会」として、その内部での争訟については、「一般市民法秩序」と直接に関はる場合以外は、裁判所の裁判権限から除外して、司法審査の対象としないとする司法消極主義に基づくものです。


しかし、この部分社会論なるものは、憲法上及び法令上の根拠が全くないものであることが解つてゐますので、国、自治体、裁判所などは、部分社会論に対しては批判が多いことが解つてゐるため、この言葉を使ふことを極力避けてゐます。


そして、「自律性」とか「一般市民法秩序」とかいふ曖昧で明確でない言葉で誤魔化してゐるのです。「一般市民法秩序」といふ概念の定義もしませんので、これが何を意味するのかも解りません。これも官僚が使ふ玉虫色の表現の一例です。この言葉を使へば、融通無碍で何でもありになるからです。ですから、我々は、権力側が使ふのを避けて通る「部分社会論」の言葉をあへて使つて、その矛盾をあぶり出す必要があるのです。


ところで、被告が引用した最判平成30年4月26日は、地方議会で発言そのものが禁止されたのではなく、発言した内容の中に事実誤認の発言部分があつたことから、その取消を求めたものですから、白糠町の事案とは全く異なります。


また、その後の判例も、一応はこの部分社会論を採用してきたものの、それが揺らいできました。現に、地方議会での議員の出席停止の懲罰決議の争訟性を否定して裁判権外とした最大判昭和35年10月19日(民集14-12-2633)は、最大判令和2年11月25日(裁判所時報1757号3頁)によつて変更され、地方議会での出席停止の懲罰の適否は常に司法審査の対象となるとして、部分社会論を排斥したのです。


被告は、この判例の変遷を指摘するとオウン・ゴールになつて不利になるので、平成30年の判例を引用することが精一杯だつたのです。


しかも、白糠町の事案は、発言自体を禁止され、しかも、懲罰手続を全く行はずに、即時懲罰されたと同じ事案ですから、最大判令和2年11月25日の判例からして、これは当然に司法審査の対象となるのです。


しかも、被告は、争訟性などを争ふことだけで、マスク着用の法的義務があるか否かについて全く認否しないのです。これが一番肝心な争点なのですが、法的義務がないとなると、マスク着用を強制し、マスク不着用の権利を侵害したことになるので、公務員職権濫用罪((公務員がその職権を濫用して、人に義務なきことを行わせ、又は権利の行使を妨害したとき。刑法第193条)に該当することを認めたことになります。


裁判所は、被告側に、12月17日までに、原告の主張に対する詳細な認否反論をした書面の提出を求めてゐます。

これは、民事事件といふよりは、実質は刑事事件なのですから、マスク着用の法的義務がないことを自白すれば、これが刑事告訴をするときの有力な証拠になるわけです。

どんな認否反論の準備書面がでてくるのか楽しみです。


これ以外にも、マスク着用を強制する民間の事案が多く発生してゐます。


マスク着用を止められてゐる診断書があつてもお構ひなしに無視してマスク着用を強制し、それに応じないとして解雇すれば、労働契約法第16条(解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。)の規定があるために、解雇すれば、解雇無効が訴訟でも認められます。しかし、邪な雇主からすれば、これを避けるために、簡単には解雇しませんが、解雇以外であれば何でもしてきます。

マスク不着用を理由としない別の理由による降格、減給、配置転換、転勤など、不当な行為が蔓延してゐます。私たちは、このことで戦つてゐる多くの人たちに寄り添つて共に戦つてゐます。


そして、これらの被害者を救済するためにも、マスク着用の法的義務がないことを訴訟において国に公式に認めさせて、これを広く周知させ、国政の場で是正策を講じさせるために、木原弁護士を先頭に立て、この閉塞情況を打破することに全力を尽くします。


次に、東京地方裁判所に係属してゐる日野市の事件は、自民党総裁選挙投開票日の前日の令和3年9月29日に提訴して、東京地方裁判所令和3年(ワ)第25239号事件として、民事4部合議A係に係属しました。


ところが、この事件については、これまで経緯において極めて不可解なことがあり、時系列でそのことを以下に説明します。


まづ、10月11日には、12月10日(金)午後1時30分に第1回口頭弁論期日が指定されたので、同日には、原告の池田利恵市議が10分程度の意見陳述する機会を与へてもらふやう求め、同月19日には、裁判所から、第1回期日の1週間前である12月3日までに意見陳述の原稿を裁判所にFAXするやうにとの連絡があり、これを了承しました。


その上で、裁判所は、傍聴人の数について問ひ合はせをしてきました。反ワクチン訴訟の第1回期日で、傍聴者が先着順であつたことから傍聴できなかつた人が法廷外に溢れたことはあつても、それは決して混乱ではありません。要するに、マスク不着用の数百人が裁判所に押し寄せたことを「混乱」であると過剰反応してゐるわけです。


そして、裁判所としては、傍聴券発行の可否検討するについて、代理人が把握してゐる傍聴人の数などについて情報があれば知りたいとのことでしたが、どれだけの人が傍聴を希望するのか解らないと答へました。また、裁判所は、原告の意見陳述の時間について、5分にしてほしい言つてきましたので、初めに申し入れたとほり、10分でお願ひしたいと言ふと、再検討するといふことになりました。


まあ、ここまでは特に何の変哲もないものでした。


ところがです。


11月8日に、裁判所より、同月4日付けで12月10日の第1回口頭弁論を職権変更すると突然言つてきました。そして、再度、期日調整をして、年内期日を入れるやうに調整したのですが、裁判所の都合が合はない?などと理屈をこねて、なんと、裁判所としては第1回弁論期日が2月4日(金)以降でなければ決められないと言つてきたので、已むなく同日の午後2時00分といふことになつてしまつたのです。

ただし、同日は従来通り10分以内の口頭での意見陳述とすることになり、1週間前に原稿を提出することになりました。


そして、裁判所は、期日が随分先になることから、被告代理人が就任後に、第1回弁論期日前に書面による準備手続を入れたいと言つてきましたので、訴訟遅延させないためには必要なことですので了解しました。


ところが、その直後に裁判所から連絡があり、前言を翻して、意見陳述の時間は5分以内とすると指示してきましたので、やむを得ないと判断し、了解して原告に伝へて了解してもらひました。


その後、期日調整の結果、11月12日に連絡があり、弁論期日前の書面による準備手続期日を12月20日(月)午後1時30分(web会議)とすることに決まりましたが、同月22日に、裁判所より電話があり、口頭弁論期日を令和4年2月4日午後2時00分に指定したのに、それを更に職権変更して3月29日に指定したいが、期日調整は可能かとの連絡がありました。


そして、書面による準備手続期日を12月20日(月)午後1時30分(web会議)も取り消して、書面による準備手続期日を令和4年2月4日午後2時00分に変更することでどうか、とまで言つてきました。


これまでは、事務員で調整してきましたが、2度に亘る第1回口頭弁論期日の職権変更といふのは異例中の異例であり、これ以後は私が直接対応しました。


当事者が期日変更を申し出るときは、その理由を疎明しなければならないのに、裁判所の職権変更といふのは、何らその理由を当事者に開示して説明することもないが、今回の連続した職権変更は到底納得できないので、裁判所は、職権変更の理由について原告側に文書で説明してもらふ必要があると申し入れました。


すると、福島書記官は、「大事件があり、その警備のために職権変更が必要である」と口頭で説明しましたが、そんなことは全く理由になりません。大事件のために、こちらの事件がどうして後回しにされるのか!こちちの事件こそが大事件であり、事件の大小を何で判断するのかは解らないが、そんなことで差別をするのか!この事件は、自民党の除名処分を取り消させて地方議員の政党所属関係を原状回復させなければ政治活動が制限されるので緊急を要する事件であり、大事件か小事件とは無関係に緊急性のある事件を最優先することが裁判所の責務ではないか!このやうな職権変更は拒否する!と言つて激怒しながら抗議しました。


福島書記官は平身低頭でしたが、原告に説明責任を果たすために、必ず文書による事情説明書の交付を求めると申し入れたところ、福島書記官は、検討するが、文書化するとしても書記官名になると思ふとのことで、回答待ちとなつたのです。


自民党にとつては、この訴訟は極めて不都合な事件なのです。マスク着用の法的義務がないのに、そのことを理由に除名し、その除名をした張本人の西野正人は、この前の東京都議会議員選挙で、番狂はせの大敗北を喫して落選したためです。その原因は、私の助言によつて池田氏が紙爆弾(ビラ)を各戸配布のポスティングで西野を徹底して攻撃したからです。


反ワクチン事件の国の場合と同様に、自民党は、除名した池田市議が任期満了に伴ふ日野市議会議員選挙(令和4年2月13日告示、同月20日投開票)に再選を目指して立候補することから、それ以前に、この裁判の第1回弁論期日が開かれて、自民党がマスク着用の法的義務がないのに除名したことが明るみに出ると、日野市議会選挙において、自民党が大敗北する可能性があるので、裁判所に頼み込み、裁判所もこれを受け入れて共謀し、第1回口頭弁論期日を提訴から6か月も先にしようとしたとしか考へられないのです。


その後、11月25日に裁判所(福島書記官)から電話があり、令和4年3月29日午前11時でどうかと再度言つてきました。原告の都合が解らないので、それ以外の日の前後で調整するとしたら、いつが可能かと尋ねると、翌30日だけしか調整できないと言ひました。こんな先の日程なのに、29日と30日しか期日が入れられないといふのも異常な話です。


そして、原告に連絡し、30日なら可能であるとの返事があつたので令和4年3月30日午前11時に、527号法廷で第1回口頭弁論期日が開かれることになりました。


しかし、こちらの条件として、令和3年12月20日と令和4年2月4日はWeb会議で準備手続期日とし、令和3年12月6日までに、自民党側から、マスク着用義務の有無などに関する請求の原因の主張について認否をした答弁書を提出させることを裁判所に約束させました。


この答弁書が出たら、公開する予定です。

南出喜久治(令和3年12月1日記す)


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