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 緊急勅令を體して

私たちは、平成二十三年三月十一日に起こつた、この度の東北地方太平洋沖地震といふ前例のない巨大地震と津波による多く犠牲者に謹んで深甚なる哀悼の意を表します。そして、いまもなほ救助や復興の見込みも立たない状況に身震ひするやうな苛立ちを覚えながら、このやうな困難な状況にもかかはらず身の危険を顧みずに救援と復興に挺身尽力されてゐる官民の多くの実践者に感謝と敬意の念を禁じ得ません。


一日も早く震災現場を訪れてお手伝ひをしたいのに、それが諸般の事情で叶はない状況を前にして忸怩たる思ひに浸つてゐた同月十六日、東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことばを賜りました。この玉音放送は、かの大東亜戦争停戦の際の玉音放送の既視感であるとしかと受け止めて、止めどなく涙が流れました。


帝国憲法は現存してをり、その帝国憲法に遵ふことを臣民に求める真正護憲論によつて祖国再生の第一歩を踏み出し、さらに、自立再生論によつて祖国と世界を再興させようとする私たちとしては、この「おことば」は帝国憲法第八条の緊急勅令であると厳粛に受け止めます。


占領憲法下では国家の緊急事態に対応できません。そんな規定もありません。政府は、この度の震災の後に一度も安全保障会議が開かれてゐないといふ為体です。

帝国憲法第八条第一項には、「天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ敕令ヲ發ス」とあり、国家緊急時における緊急勅令の規定があります。それゆゑ、この度の「おことば」は、まさにこの緊急勅令であり、これを体して行動せねばなりません。関東大震災のときも緊急勅令が渙発されました。この度の震災は関東大震災を越えるものですから、緊急勅令が出されるのは当然です。緊急勅令としての「おことば」は、「非常徴發ノ場合ヲ除クノ外」でなければ義勇兵を団結することを停められた明治二十七年の「義勇兵ヲ停メ給フ敕諭」に悖るものではなく、むしろ、この緊急勅令によつて「非常徴發」をお命じになられたのです。むしろ、義勇兵団結をお認めいただいたものであり、我々臣民は、これを根拠として祖国防衛権を行使し、自衛隊、海上保安庁、警察、消防隊など国家緊急事態の対応できる物的装備と人的組織を持つすべての国家機関とともに、この緊急勅令を体して陛下の下に皇軍義勇兵として団結し、全力を挙げて国家再建に取り組むべきことを自覚して、直ちに実践しようではありませんか。


いままさに占領憲法を打破し帝国憲法の下で祖国の再生のために立ち上がる秋(とき)です。


平成二十三年三月十八日
國體護持塾塾長 南出喜久治


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