一 変更の態様
追加追加したのは、第九項、第十項及び第十一項であり、それまでの第九項及び第十項は、それぞれ第十二項及び第十三項に繰り下げたものである。
二 マスク着用義務の不存在
1⑴ 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「法」といふ。)第4条第1項には、「事業者及び国民は、新型インフルエンザ等の予防及び感染の拡大の防止に努めるとともに、新型インフルエンザ等対策に協力するよう努めなければならない。」とある。
⑵ ここには、「予防及び感染の拡大の防止」と「新型インフルエンザ等対策」に協力する努力義務が謳はれてゐるが、具体的に、マスクの着用やその着用方法などについて定めたものではなく、マスク着用義務は規定されてゐない。
⑶ また、法第 75 条には、「この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。」とあり、法第4条第1項の努力義務の具体的な態様として、マスク着用義務を定めうる政令への委任がなされてゐるが、マスク着用義務を定めた政令の規定は存在しない。
2⑴ なほ、法第 75 条に基づく新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令(平成25年政令第122号。以下「施行令」といふ。)第5 条の5(重点区域におけるまん延の防止のために必要な措置)には、「法第31条の6第1項の政令で定める措置は、次のとおりとする。」として、
「一 従業員に対する新型インフルエンザ等にかかっているかどうかについての検査を受けることの勧奨
二 当該者が事業を行う場所への入場(以下この条において単に「入場」という。)をする者についての新型インフルエンザ等の感染の防止のための整理及び誘導
三 発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の入場の禁止
四 手指の消毒設備の設置
五 当該者が事業を行う場所の消毒
六 入場をする者に対するマスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の周知
七 正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止
八 前各号に掲げるもののほか、法第41条の4第1項に規定する事態において、新型インフルエンザ等のまん延の防止のために必要な措置として厚生労働大臣が定めて公示するもの」
と定める。
⑵ そして、施行令第 5 条の 5 本文で引用する法第 31 条の 6 第 1 項(感染を防止するための協力要請等)といふのは、「都道府県知事は、第 31 条の 4 第 1 項に規定する事態において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある同項第 2 号に掲げる区域(以下この条において「重点区域」という。)における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該都道府県知事が定める期間及び区域において、新型インフルエンザ等の発生の状況についての政令で定める事項を勘案して措置を講ずる必要があると認める業態に属する事業を行う者に対し、営業時間の変更その他国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するために必要な措置として政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。」とするものである。
⑶ また、施行令第5条の5第8号で引用する法第31条の4第1項(新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置の公示等)といふのは、「政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章及び次章において同じ。)が国内で発生し、特定の区域において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある当該区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施する必要があるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、当該事態が発生した旨及び次に掲げる事項を公示するものとする。
一 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を実施すべき区域
三 当該事態の概要」
とするものである。
⑷ つまり、施行令第5条の5各号の規定は、いづれも新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置に関するものであつて、その措置がなされてゐない場合には適用がないといふことになる。
⑸ また、その適用がある場合であつても、施行令第5条の5第6号に「入場をする者に対するマスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の周知」を行ふ義務があるのは事業者であつて、入場者にマスクの着用を義務付けるものではない。
⑹ ところが、施行令第5条の5第7号には、「正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止」とある。これは、事業者に対し、入場者にマスク着用を義務付けることになるのであつて、法第 75 条による法第 4 条第 1項の努力義務の具体的な態様としてマスク着用義務を政令が定めてゐないのであるから、このやうな規定は違法無効である。マスク着用義務が定められてゐないのに、事業者が入場者の「入場の禁止」をすることはできないのである。マスク着用を勧奨することができるに過ぎないのであるから、「入場の禁止」ではなく、「入場辞退の勧奨」と限定解釈運用によらなければ違法となるのである。
⑺ いづれにしても、後に述べるとほり、一般的にマスク不着用には正当な理由があるので、事業者に入場の禁止をさせることは事業者に違法行為を強要することになるので違法無効であることは明らかである。
3⑴ これと同様に、施行令第12条(感染の防止のために必要な措置)にも、同様の規定がある。すなはち、「法第45条第2項の政令で定める措置は、次のとおりとする。」として、
「一 従業員に対する新型インフルエンザ等にかかっているかどうかについての検査を受けることの勧奨
二 新型インフルエンザ等の感染の防止のための入場者の整理及び誘導
三 発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の入場の禁止
四 手指の消毒設備の設置
五 施設の消毒
六 マスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の入場者に対する周知
七 正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止
八 前各号に掲げるもののほか、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の感染の防止のために必要な措置として厚生労働大臣が定めて公示するもの」
とある。
⑵ つまり、施行令第12条第7号だけが、「入場の禁止」としてゐることから、前述のとほり、実質的にマスク着用を義務付けさせてゐる点において違法無効なのである。
⑶ ところで、施行令第12条が引用する法第45条第2項(感染を防止するための協力要請等)には、「特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場
法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項及び第72条第2項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。」とある。
⑷ さらに、施行令第11条(使用の制限等の要請の対象となる施設)には、「法第45条第2項の政令で定める多数の者が利用する施設は、次のとおりとする。ただし、第3号から第14号までに掲げる施設にあっては、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるものに限る。」とし、
一 学校(第三号に掲げるものを除く。)
二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設
四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場
五 集会場又は公会堂
六 展示場
七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)
八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)
九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場
十 博物館、美術館又は図書館
十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設
十四 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設(第十一号に該当するものを除く。)
十五 第三号から前号までに掲げる施設であって、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの」
とある。
⑸ また、上記施行令第11条第15号の厚生労働大臣の告示は、令和2年4月13日付けで内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長が各都道府県知事宛に発出した「使用の制限等の要請の対象となる施設に係る留意事項等について」(事務連絡)がある。
三 マスク着用の科学的根拠の不存在
1 有用性について
⑴ 訴状でも主張したとほり、マスクの効用等については、科学的根拠に強い疑問がある。いはゆるスペイン風邪と呼ばれた新型インフルエンザウイルス(H1N1)は、当時の世界人口18億人のうち、半数から 3 分の 1 程度(少なくとも 5 億人程度)が感染し、5000万人以上が死亡したとされる。その時期において、アメリカでは、サンフランシスコ市衛生局の最高保健責任者として市保健委員会委員長を務めたウイリアム・C・ハスラーの主導で、大正7年10月に「マスク着用条例」が制定され、第一次世界大戦における愛国心を煽つてスペイン風邪を押さへ込んだとされるが、戦争が終はつてクリスマスになると、人々はマスクをするのを嫌がつて着用しなくなり、感染がさらに拡散したとされてゐる。これがマスクの効用神話の始まりである。
⑵ しかし、現在、アメリカにおいて、マスクの着用者群と非着用者群の比較において、前者の方が感染者が多かつたとの調査結果もある。一般に、鼻呼吸では感染リスクが低いが、口呼吸では高い。マスクをしながら声を出して話をすると口呼吸が増えて感染リスクが高まる。マスクを着用すると、呼吸が浅くなり酸欠になつてストレスが高まり疲労がたまる。高温または多湿の環境や季節においてマスクを着用すると体熱放散作用が妨げられて熱中症のリスクが高まる。マスクをした場合でも、マスクをしない場合と比較しても 60〜80%程度はウイルスに暴露するため、特に、長時間のマスク着用は、却つて感染のリスクが高まる可能性がある。
⑶ また、他人に感染させないためにマスクを着用しても、それでもウイルスは飛散する。後述するとほり、PCR検査陽性の無症状感染者の感染力はないのであるから、ウイルス飛散を防止するためのマスク着用は有害無益である。また、大多数の人は非感染者であるのでマスクは無用であり、有症状感染者のみにマスク着用を奨励する程度に留めるべきである。
⑷ 国は、国民の全員がマスクを着用した形相で生活する「新しい生活様式」といふ異様で異常な社会生活の様式を奨励して定着させてはならない。そのやうな生活様式は、国民の文化や伝統などを支へてゐる基層に重大な悪影響を生じさせることになるので、国には、このやうな悍ましいマスク生活様式を国民に強制することを速やかに中止しなければならない義務がある。
⑸ 付言すると、以上のことは、主に厚生労働省の政策に関係するものであるが、国民の全員がマスクを着用した形相で生活する「新しい生活様式」といふ異様で異常な社会生活の様式は、コミュニケーション障害や子どもの発達障害を引き起こすといふ大きな問題を招くこととなり、社会全体の国民生活の根幹を歪めてしまふことにある。人と人との交流は、文字や言葉の音声だけでなく、顔全体の表情と表現や口の動きなどによつてなされるものであつて、口を含む顔の大部分をマスクで覆ふ状態では、コミュニケーションが不完全となり、意思の疎通が図れない社会となる。そして、社会といふのは大人だけのものではない。特に、乳幼児や未成年者においては、発達障害等の原因になることが指摘されてゐるのであり、このやうなマスク生活が常態化することを阻止しなければならないのである。
⑹ いづれにせよ、国は、単純にマスクの着用を奨励するだけで、そのマスクの種類と性能、着用場所、着用時間、マスクの着脱の要件などの基準を定めず、どの程度の態様によるマスク着用が有用で安全であるのかの基準に関する医学的知見と根拠を国民に全く示してゐないのである。
2 安全性について
⑴ マスク着用の有害性を無視することはできない。
⑵ マスク着用によつて、鼻呼吸が妨げられ口呼吸を誘発することになり、軽い酸欠状態を引き起こし、熱交換が不完全となつて熱中症の原因になる。また、マスク製造過程での薬品等や接触によるアレルギー性などの皮膚炎や、マスク内での雑菌繁殖による健康被害などを引き起こすのであつて、前述したとほり、マスクによつて顔を覆ふ状態でのコミュニケーションの障害によつて、特に、子供の成長に致命的な支障をきたすことになるのである。
⑶ これらについては、医学論文等が存在する。マスクにより酸欠状態になりSpO2 が低下する(PMID:18500410)のであり、マスクの使用とインフル感染の予防効果を示した研究は存在しない(PMID:22188875)のである。また、感染リスクを減らすマスクの有効性を支持するエビデンスはほぼ皆無である(PMID:20092668)。
⑷ 現に、WHO は、令和 2 年 6 月 5 日まで、健康な人がマスクを着用すべきだと判断するには十分な証拠はないとしてゐたのである。
⑸ 「鼻呼吸こそが天然のマスク」(元岡山大学病院・岡崎好秀)であつて、感染爆発とされてゐる今だからこそ鼻呼吸によつて免疫力を高め、体を強くするためにマスクを外すべきなのである。
四 施行令第5条の5及び同第12条の各第3号及び各第7号の無効性
1⑴ 施行令第5条の5及び同第12条の各第6号には、「マスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の入場者に対する周知」とある。
⑵ ここにマスクの着用といふ言葉が登場するが、マスクがどのやうな形態であり、どのやうな使用態様であるのかについての定義がない。
⑶ また、マスクの着用その他の・・・措置の入場者に対する周知」とあるやうに、マスの着用はその措置の例示とされてゐるものであつて、マスク着用に限定されてゐるものではなく、ましてやマスクの着用を義務付ける規定ではない。
2⑴ そもそも、前述したとほり、国民の義務規定としては、法第4条第1項に、「事業者及び国民は、新型インフルエンザ等の予防及び感染の拡大の防止に努めるとともに、新型インフルエンザ等対策に協力するよう努めなければならない。」とあるだけで、具体的な義務態様としてマスク着用義務は存在しない。
⑵ そして、その義務規定を具体化しうるために、法第 75 条には、「この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。」とあるが、法第4条第1項の努力義務の具体的な態様として、マスク着用義務を定めうる政令への委任がなされてゐるものの、マスク着用義務を定めた政令の規定は存在しない。
⑶ ところが、施行令第5条の5及び同第12条の各第6号に続いて、各第7号として、「正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止」と定めたのであるが、この「入場の禁止」は、義務なきことを強要する措置である。繰り返し述べるが、これが、「入場辞退の勧奨」であれば、整合性はあるが、「禁止」といふのは、勧奨ではなく強制の意味である。
3⑴ なほ、施行令第5条の5及び同第12条の各第3号には、「発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の入場の禁止」とあり、ここにも「入場の禁止」とあるが、その発熱者等が指定感染症であると認定された場合には、強制的に入院措置がとられるのであるから、その反射的効果として「入場の禁止」が認められるといふ限度において容認されるものに過ぎない。
⑵ 発熱等の症状は、指定感染症以外の疾病にも多く、検査もせず発熱等の症状があるといふだけで指定感染症であると確定診断することはできない。ましてや、医師法第17条は、医師でない者による「医業」を禁止してゐる。当該診断行為を行ふに当たり、医師の医学的判断及び技術をもつてするのでなければ感染症の診断はできないのであつて、そのやうな行為は人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為であるから、これは医師法第17条の「医行為」である。
⑶ それゆゑ、全ての入場者を検査する行為は、反復継続する意思を以て行ふ医行為であるから、医師ない者が行ふことは明らかに違法なのであり、発熱等の症状があることを理由に、医師でない者が「入場の禁止」を判断しうる能力と適格性を備へてゐないのであるから、単に指定感染症であると主観的に疑はれる程度で「入場の禁止」といふ強制は認められないことにおいては、第7号と同じである。
⑷ いづれにせよ、強制は義務を伴ふことになり、義務規定を定めないままの強制は違法無効であることが明らかである。
五 実質的当事者訴訟
1 よつて、原告らは、訴状「請求の原因」第六の実質的当事者訴訟で述べたことと同様に、原告らと国との公法上の法律関係に関する確認の訴を追加変更するものである。
2 すなはち、前記第一の「変更後の請求の趣旨」第九項は、わが国の法令において、マスクの着用義務がないにもかかはらず、違法無効な施行令第5条の5及び同第12条の各第7号による「入場の禁止」といふ強制が為されうる危険がある
さらに、「入場の禁止」の規定の存在によつて、入場者しようとする者に対し、まさに「間接強制」として機能し、入場したくても入場できないといふ心理的圧迫を与へ、マスク着用を強制してゐることになるのである。
3 従つて、原告らは、今後起こりうる入場の機会に際して、入場を阻まれることが想定される事態に対する妨害予防請求として、マスクの着用義務の不存在確認を求める訴の利益がある。
4 また、前記第一の「変更後の請求の趣旨」第十項及び第十一項についても、原告らには、施行令第5条の5及び同第12条の各第3号による「入場の禁止」といふ強制が為されうる危険があるため、前記3と同様に、妨害予防請求として、このやうに違法無効の「入場の禁止」を強制する原因となる各第3号の規定の無効確認を求める訴の利益がある。
5 そして、現在の各種学校などは、これらの「入場の禁止」を一人歩きさせ、如何なる理由があつてもマスクをせず、あるいは、発熱等があるといふ理由だけで、児童、生徒及び学生らの登校を拒絶し、授業のために教室等に入室することも拒否する事例が全国各地で多く起こつてをり、これは、日本国憲法第26条に定める教育を受ける権利を侵害し、保護者の教育権をも侵害してゐる事態なのである。従つて、本件訴訟は、国民代表訴訟の性質を有することから、このやうな違憲違法な事態を速やかに解消する責務があり、マスク着用義務不存在確認と前記の「入場の禁止」条項の無効確認がなされることが焦眉の急務となつてゐるのである。