國體護持總論
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【資料番號 三十八】

日本國と中華民國との平和條約(日華平和條約)
昭和二十七年條約第十號

昭和二十七年四月二十八日調印、同年八月五日發效)

日本國及び中華民國は、

その歴史的及び文化的のきずなと地理的の近さにかんがみ、善隣關係を相互に希望することを考慮し、

その共通の福祉の增進竝びに國際の平和及び安全の維持のための緊密な關係が重要であることを思い、

兩者の間の戰爭状態の存在の結果として生じた諸問題の解決の必要を認め、

平和條約を締結することに決定し、よつて、その全權委員として次のとおり任命した。

   日本國政府 河田烈

   中華民國大統領 葉公超


これらの全權委員は、互にその全權委任状を示し、それが良好妥當であると認められた後、次の諸條を協定した。


第一條 日本國と中華民國との間の戰爭状態は、この條約が效力を生ずる日に終了する。

第二條 日本國は、千九百五十一年九月八日にアメリカ合衆國のサン・フランシスコ市で署名された日本國との平和條約(以下「サン・フランシスコ條約」という。)第二條に基き、臺灣及び澎湖諸島竝びに新南群島及び西沙群島に對するすべての權利、權原及び請求權を放棄したことが承認される。

第三條 日本國及びその國民の財産で臺灣及び澎湖諸島にあるもの竝びに日本國及びその國民の請求權(債權を含む。)で臺灣及び澎湖諸島における中華民國の當局及びそこの住民に對するものの處理、竝びに日本國におけるこれらの當局及び住民の財産竝びに日本國及びその國民に對するこれらの當局及び住民の請求權(債權を含む。)の處理は、日本國政府と中華民國政府との間の特別取極の主題とする。國民及び住民という語は、この條約で用いるときはいつでも、法人を含む。

第四條 千九百四十一年十二月九日前に日本國と中華民國との間で締結されたすべての條約、協約及び協定は、戰爭の結果として無效となつた事が承認される。

第五條 日本國は、サン・フランシスコ條約第十條の規定に基き、千九百一年九月七日に北京で署名された最終議定書竝びにこれを補足するすべての附屬書、書簡及び文書の規定から生ずるすべての利益及び特權を含む中國におけるすべての特殊の權利及び利益を放棄し、且つ、前記の議定書、附屬書、書簡及び文書を日本國に關して廢棄することに同意したことが承認される。

第六條(a) 日本國及び中華民國は、相互の關係において、國際連合憲章第二條の原則を指針とするものとする。

(b) 日本國及び中華民國は、國際連合憲章の原則に從つて協力するものとし、特に、經濟の分野における友好的協力によりその共通の福祉を增進するものとする。

第七條 日本國及び中華民國は、貿易、海運その他の通商の關係を、安定した且つ友好的な基礎の上におくために、條約又は協定をできる限りすみやかに締結することに努めるものとする。

第八條 日本國及び中華民國は、民間航空運送に關する協定をできる限りすみやかに締結することに努めるものとする。

第九條 日本國及び中華民國は、公海における漁場の規制又は制限竝びに漁業の保存及び發展を規定する協定をできる限りすみやかに締結することに努めるものとする。

第十條 この條約の適用上、中華民國の國民には、臺灣及び澎湖諸島のすべての住民及び以前にそこの住民であつた者、竝びにそれらの子孫で、臺灣及び澎湖諸島において中華民國が現に施行し、又は今後施行する法令によつて中國の國籍を有するものを含むものとみなす。また、中華民國の法人には、臺灣及び澎湖諸島において中華民國が現に施行し、又は今後施行する法令に基いて登錄されるすべての法人を含むものとみなす。

第十一條 この條約及びこれを補足する文書に別段の定めがある場合を除く外、日本國と中華民國との間に戰爭状態の存在の結果として生じた問題は、サン・フランシスコ條約の相當規定に從つて解決するものとする。

第十二條 この條約の解釋または適用から生ずる紛爭は、交渉または他の平和的手段によつて解決するものとする。

第十三條 この條約は、批准されなければならない。批准書は、できる限りすみやかに臺北で交換されなければならない。この條約は、批准書の交換の日に效力を生ずる。

第十四條 この條約は、日本語、中國語及び英語により作成するものとする。解釋の相違がある場合には、英語の本文による。

以上の證據として、それぞれの全權委員は、この條約に署名調印した。

昭和二十七年四月二十八日(中華民國の四十一年四月二十八日及び千九百五十二年四月二十八日に相當する。)に臺北で、本書二通を作成した。

  日本國のために 河田烈

  中華民國のために 葉公超

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