國體護持總論
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著書紹介

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概念の整理

これまで、いくつかの基本概念を折に觸れて述べてきたが、これから占領典範と占領憲法の效力論を述べる前に、そこで登場する基礎的な概念をここで整理しておく必要がある。

法律學は、社會科學であり論理學に基づくものであるから、特定の概念を定義し、その概念が適用される事物のすべてに共通する性質の總體(内包)を確定させて、これに適用される事物(外延)を特定させる。

そして、法律學においては、權利と義務、物權と債權、債權と債務などのやうに、相容れない對立する概念を構築し、その概念には外延において重なるもの(共通するもの)がないとする「峻別の法理」を用ゐて、それをすべての法律事象に當てはめて分類し分析する論理的な學問である。もちろん、ここで議論される、「效力」の有無としての「有效」と「無效」といふ概念も法律學の中心的な概念の一つであることはいふまでもなく、前に述べた成立要件と效力要件(有效要件)との區別、行爲規範と評價規範の區別は、占領憲法の效力論を論ずるについては最も重要な概念である。

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