國體護持總論
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復元措置の課題

以上のやうな手順で復元措置が採られるが、ここで明らかなとほり、法的安定性が害されることは必要最小限度にとどまることが解るはずである。しかし、正統憲法調査會で檢討される問題は多岐に亘り、それは單に法的問題にとどまらず、政治、經濟、文化、教育など樣々な分野に廣がり、さながら國家改造運動の樣相を呈することになる。

戰前、戰後を通じて、政治問題、社會問題、教育問題、家族制度など樣々な問題があつたが、これらの現象は規範國體との軋轢から生ずる憲法問題に歸着する「同根」の問題なのである。特に、戰後において、典範の運用、防衞の方針、自衞隊の活動、官僚の腐敗、選擧制度の混亂、地方自治の樣相、靖國參拜の喧噪、教育の荒廢、文化風俗の頽廢、凶惡犯罪の多發、拉致事件、領土問題、家族制度、金融資本主義經濟の暴走など、我が國の内外におけるあらゆる領域で起こつた問題は、それぞれが個々獨立したものではなく、すべて「同根」から生じてゐる。それは、國内的には「憲法」である。モグラたたきのやうに、個々に對應しても解決はできず、すべては憲法問題として根本治療を施さなければ解決することができないのである。

その多岐に亘る課題や問題をここで網羅的に列擧して具體的に解説することは不可能であるが、以下において、これまでに述べてきたことに加へ、補充的にその主な項目の概要を提示することにする。

なほ、これらの課題と問題を檢討し、文化運動などを展開するためには、情報の公開と公正な報道が不可缺であり、第二章で述べたとほり、昭和二十一年七月二十三日に占領統治下でGHQによる檢閲の補完として設立された『社團法人日本新聞協會』が、その出生の祕密と罪状を隱したままで、それを告白して懺悔する報道もせずにこれからも存續しようとするのであれば、これを直ちに解散させ、これに連なる放送局の放送法等による許認可を取消して解體させなければならないことは勿論のことである。

そして、このやうに復元措置をなすことによつて、一體何を守るのか、何を目的として復元するのか、といふことが課題となる。それは、すべて「國體護持」のためであり、そのためには「國防」の觀點が必要である。國防は、單に軍事力だけではない。歴史、傳統、民俗など守る文化防衞であり、家族、地域の教育と秩序などを守る社會防衞も含むものである。そこで、復元によつて實現すべき眞の國防の意味とは何なのかについて、以下において述べてみたい。

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