國體護持總論
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【資料番號 三十七】

日本國とアメリカ合衆國との間の安全保障條約(舊安保條約)
昭和二十年條約第六號

(昭和二十七年四月二十八日公布、同日發效、
昭和三十五年六月二十三日失效)

日本國は、本日連合國との平和條約に署名した。日本國は武裝を解除されているので、平和條約の效力發生の時において固有の自衞權を行使する有效な手段をもたない。

無責任な軍國主義がまだ世界から驅逐されていないので、前記の状態にある日本國には危險がある。よつて、日本國は、平和條約が日本國とアメリカ合衆國の間に效力を生ずるのと同時に效力を生ずべきアメリカ合衆國との安全保障條約を希望する。

平和條約は、日本國が主權國として集團的安全保障取極を締結する權利を有することを承認し、さらに、國際連合憲章は、すべての國が個別的及び集團的自衞の固有の權利を有することを承認している。

これらの權利の行使として、日本國は、その防衞のための暫定措置として、日本國に對する武力攻撃を阻止するため日本國内及びその附近にアメリカ合衆國がその軍隊を維持することを希望する。

アメリカ合衆國は、平和と安全のために、現在、若干の自國軍隊を日本國内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆國は、日本國が、攻撃的な脅威となり又は國際連合憲章の目的及び原則に從つて平和と安全を增進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に對する自國の防衞のため漸增的に自ら責任を負うことを期待する。

よつて、兩國は、次のとおり協定した。

第一條 平和條約及びこの條約の效力發生と同時に、アメリカ合衆國の陸軍、空軍及び海軍を日本國内及びその附近に配備する權利を、日本國は、許與し、アメリカ合衆國は、これを受諾する。この軍隊は、極東における國際の平和と安全の維持に寄與し、竝びに、一又は二以上の外部の國による教唆又は干渉によつて引き起された日本國における大規模の内亂及び騷じようを鎭壓するため日本國政府の明示の要請に應じて與えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に對する日本國の安全に寄與するために使用することができる。

第二條 第一條に掲げる權利が行使される間は、日本國は、アメリカ合衆國の事前の同意なくして、基地、基地における若しくは基地に關する權利、權力若しくは權能、駐兵若しくは演習の權利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の權利を第三國に許與しない。

第三條 アメリカ合衆國の軍隊の日本國内及びその附近における配備を規律する條件は、兩政府間の行政協定で決定する。

第四條 この條約は、國際連合又はその他による日本區域における國際の平和と安全の維持のため充分な定をする國際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集團的の安全保障措置が效力を生じたと日本國及びアメリカ合衆國の政府が認めた時はいつでも效力を失うものとする。

第五條 この條約は、日本國及びアメリカ合衆國によつて批准されなければならない。この條約は、批准書が兩國によつてワシントンで交換された時に效力を生ずる。

以上の證據として、下名の全權委員は、この條約に署名した。

千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、日本語及び英語により、本書二通を作成した。

(署名略)

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