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【資料番號 四十三】

條約法に關するウィーン條約(條約法條約)
昭和五十六年條約第十六號

(昭和五十六年七月二十日公布、同年八月一日發效)

條約法に關するウィーン條約


この條約の當事國は、國際關係の歴史における條約の基本的な役割を考慮し、條約が、國際法の法源として、また、國(憲法體制及び社會體制のいかんを問わない。)の間の平和的協力を發展させるための手段として、引き續き重要性を增しつつあることを認め、自由意思による同意の原則及び信義誠實の原則竝びに「合意は守られなければならない」との規則が普遍的に認められていることに留意し、條約に係る紛爭が、他の國際紛爭の場合におけると同樣に、平和的手段により、かつ、正義の原則及び國際法の諸原則に從つて解決されなければならないことを確認し、國際連合加盟國の國民が、正義と條約から生ずる義務の尊重とを維持するために必要な條件の確立を決意したことを想起し、人民の同權及び自決の原則、すべての國の主權平等及び獨立の原則、國内問題への不干渉の原則、武力による威嚇又は武力の行使の禁止の原則、すべての者の人權及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の原則等國際連合憲章に規定する國際法の諸原則を考慮し、この條約において條約法の法典化及び漸進的發達が圖られたことにより、國際連合憲章に定める國際連合の目的、すなわち、國際の平和及び安全の維持、諸國間の友好關係の發展竝びに國際協力の達成が推進されることを確信し、この條約により規律されない問題については、引き續き國際慣習法の諸規則により規律されることを確認して、次のとおり協定した。

第一部 序

第一條 この條約の適用範圍

この條約は、國の間の條約について適用する。

第二條 用語

1 この條約の適用上、

(a) 「條約」とは、國の間において文書の形式により締結され、國際法によつて規律される國際的な合意(單一の文書によるものであるか關連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名稱のいかんを問わない。)をいう。

(b) 「批准」、「受諾」、「承認」及び「加入」とは、それぞれ、そのように呼ばれる國際的な行爲をいい、條約に拘束されることについての國の同意は、これらの行爲により國際的に確定的なものとされる。

(c) 「全權委任状」とは、國の權限のある當局の發給する文書であつて、條約文の交渉、採擇若しくは確定を行うため、條約に拘束されることについての國の同意む表明するため又は條約に關するその他の行爲を遂行するために國を代表する一文は二以上の者を指名しているものをいう。

(d) 「留保」とは、國が、條約の特定の規定の自國への適用上その法的效果を排除し又は變更することを意圖してへ條約への署名、條約の批准、受諾若しくは承認又は條約への加入の際に單獨に行う聲明(用いられる文言及び名稱のいかんを問わない。)をいう。

(e) 「交渉國」とは、條約文の作成及び採擇に參加した國をいう。

(f) 「締約國」とは、條約(效力を生じているかいないかを問わない。)に拘束されることに同意した國をいう。

(g) 「當事國」とは、條約に拘束されることに同意し、かつ、自國について條約の效力が生じている國をいう。

(h) 「第三國」とは、條約の當事國でない國をいう。

(i) 「國際機關」とは、政府間機關をいう。

2 この條約における用語につき規定する1の規定は、いずれの國の國内法におけるこれらの用語の用法及び意味にも影響を及ぼすものではない。

第三條 この條約の適用範圍外の國際的な合意

この條約が國と國以外の國際法上の主體との間において又は國以外の國際法上の主體の間において締結される國際的な合意及び文書の形式によらない國際的な合意については適用されないということは、次の事項に影響を及ぼすものではない。

(a) これらの合意の法的效力

(b) この條約に規定されている規則のうちこの條約との關係を離れ國際法に基づきこれらの合意を規律するような規則のこれらの合意についての適用

(c) 國及び國以外の國際法上の主體が當事者となつている國際的な合意により規律されている國の間の關係へのこの條約の適用

第四條 この條約の不遡及

この條約は、自國についてこの條約の效力が生じている國によりその效力發生の後に締結される條約についてのみ適用する。ただし、この條約に規定されている規則のうちこの條約との關係を離れ國際法に基づき條約を規律するような規則のいかなる條約についての適用も妨げるものではない。

第五條 國際機關を設立する條約及び國際機關内において採擇される條約

この條約は、國際機關の設立文書である條約及び國際機關内において採擇される條約について適用する。ただし、當該國際機關の關係規則の適用を妨げるものではない。

第二部 條約の締結及び效力發生

第一節 條約の締結

第六條 國の條約締結能力

いずれの國も、條約を締結する能力を有する。

第七條 全權委任状

1 いずれの者も、次の場合には、條約文の採擇若しくは確定又は條約に拘束されることについての國の同意の表明の目的のために國を代表するものと認められる。

(a) 當該者から適切な全權委任状の提示がある場合

(b) 當該者につきこの1に規定する目的のために國を代表するものと認めかつ全權委任状の提示を要求しないことを關係國が意圖していたことが關係國の慣行又はその他の状況から明らかである場合

2 次の者は、職務の性質により、全權委任状の提示を要求されることなく、自國を代表するものと認められる。

(a) 條約の締結に關するあらゆる行爲について、元首、政府の長及び外務大臣

(b) 派遣國と接受國との間の條約の條約文の採擇については、外交使節團の長

(c) 國際會議又は國際機關若しくはその内部機關における條約文の採擇については、當該國際會議又は國際機關若しくはその内部機關に對し國の派遣した代表者

第八條 權限が與えられることなく行われた行爲の追認

條約の締結に關する行爲について國を代表する權限を有するとは前條の規定により認められない者の行つたこれらの行爲は、當該國の追認がない限り、法的效果を伴わない。

第九條 條約文の採擇

1 條約文は、2の場合を除くほか、その作成に參加したすべての國の同意により採擇される。

2 國際會議においては、條約文は、出席しかつ投票する國の三分の二以上の多數による議決で採擇される。ただし、出席しかつ投票する國が三分の二以上の多數による議決で異なる規則を適用することを決定した場合は、この限りでない。

第十條 條約文の確定

條約文は、次のいずれかの方法により眞正かつ最終的なものとされる。

(a) 條約文に定められている手續又は條約文の作成に參加した國が合意する手續

(b) (a)の手續がない場合には、條約文の作成に參加した國の代表者による條約文又は條約文を含む會議の最終議定書への署名、追認を要する署名又は假署名

第十一條 條約に拘束されることについての同意の表明の方法

條約に拘束されることについての國の同意は、署名、條約を構成する文書の交換、批准、受諾、承認若しくは加入により又は合意がある場合には他の方法により表明することができる。

第十二條 條約に拘束されることについての同意の署名による表明

1 條約に拘束されることについての國の同意は、次の場合には、國の代表者の署名により表明される。

(a) 署名が同意の表明の效果を有することを條約が定めている場合

(b) 署名が同意の表明の效果を有することを交渉國が合意したことが他の方法により認められる場合

(c) 署名に同意の表明の效果を付與することを國が意圖していることが當該國の代表者の全權委任状から明らかであるか又は交渉の過程において表明されたかのいずれかの場合

2 1の規定の適用上、

(a) 條約文への假署名は、交渉國の合意があると認められる場合には、條約への署名とされる。

(b) 國の代表者による條約への追認を要する署名は、當該國が追認をする場合には、條約への完全な署名とされる。

第十三條 條約に拘束されることについての同意の條約構成文書の交換による表明

國の間で交換される文書により構成されている條約に拘束されることについての國の同意は、次の場合には、當該文書の交換により表明される。

(a) 文書の交換が同意の表明の效果を有することを當該文書が定めている場合

(b) 文書の交換が同意の表明の效果を有することを國の間で合意したことが他の方法により認められる場合

第十四條 條約に拘束されることについての同意の批准、受諾又は承認による表明

1 條約に拘束されることについての國の同意は、次の場合には、批准により表明される。

(a) 同意が批准により表明されることを條約が定めている場合

(b) 批准を要することを交渉國が合意したことが他の方法により認められる場合

(c) 國の代表者が批准を條件として條約に署名した場合

(d) 批准を條件として條約に署名することを國が意圖していることが當該國の代表者の全權委任状から明らかであるか又は交渉の過程において表明されたかのいずれかの場合

2 條約に拘束されることについての國の同意は、批准により表明される場合の條件と同樣の條件で、受諾又は承認により表明される。

第十五條 條約に拘束されることについての同意の加入による表明

條約に拘束されることについての國の同意は、次の場合には、加入により表明される。

(a) 當該國が加入により同意を表明することができることを條約が定めている場合

(b) 當該國が加入により同意を表明することができることを交渉國が合意したことが他の方法により認められる場合

(c) 當該國が加入により同意を表明することができることをすべての當事國が後に合意した場合

第十六條 批准書、受諾書、承認書又は加入書の交換又は寄託

條約に別段の定めがない限り、批准書、受諾書、承認書又は加入書は、これらについて次のいずれかの行爲が行われた時に、條約に拘束されることについての國の同意を確定的なものとする。

(a) 締約國の間における交換

(b) 寄託者への寄託

(c) 合意がある場合には、締約國又は寄託者に對する通告

第十七條 條約の一部に拘束されることについての同意及び樣々な規定のうちからの特定の規定の選擇

1 條約の一部に拘束されることについての國の同意は、條約が認めている場合又は他の締約國の同意がある場合にのみ、有效とされる。もつとも、第十九條から第二十三條までの規定の適用を妨げるものではない。

2 樣々な規定のうちからの特定の規定の選擇を認めている條約に拘束されることについての國の同意は、いずれの規定に係るものであるかが明らかにされる場合にのみ、有效とされる。

第十八條 條約の效力發生前に條約の趣旨及び目的を失わせてはならない義務

いずれの國も、次の場合には、それぞれに定める期間、條約の趣旨及び目的を失わせることとなるような行爲を行わないようにする義務がある。

(a) 批准、受諾若しくは承認を條件として條約に署名し又は條約を構成する文書を交換した場合には、その署名又は交換の時から條約の當事國とならない意圖を明らかにする時までの間

(b) 條約に拘束されることについての同意を表明した場合には、その表明の時から條約が效力を生ずる時までの間。ただし、效力發生が不當に遲延する場合は、この限りでない。

第二節 留保

第十九條 留保の表明

いずれの國も、次の場合を除くほか、條約への署名、條約の批准、受諾若しくは承認又は條約への加入に際し、留保を付することができる。

(a) 條約が當該留保を付することを禁止している場合

(b) 條約が、當該留保を含まない特定の留保のみを付することができる旨を定めている場合

(c) (a)及び(b)の場合以外の場合において、當該留保が條約の趣旨及び目的と兩立しないものであるとき。

第二十條 留保の受諾及び留保に對する異議

1 條約が明示的に認めている留保については、條約に別段の定めがない限り、他の締約國による受諾を要しない。

2 すべての當事國の間で條約を全體として適用することが條約に拘束されることについての各當事國の同意の不可缺の條件であることが、交渉國數が限定されていること竝びに條約の趣旨及び目的から明らかである場合には、留保については、すべての當事國による受諾を要する。

3 條約が國際機關の設立文書である場合には、留保については、條約に別段の定めがない限り、當該國際機關の權限のある内部機關による受諾を要する。

4 1から3までの場合以外の場合には、條約に別段の定めがない限り、

(a) 留保を付した國は、留保を受諾する他の締約國との間においては、條約がこれらの國の雙方について效力を生じているときはその受諾の時に、條約がこれらの國の雙方又は一方について效力を生じていないときは雙方について效力を生ずる時に、條約の當事國關係に入る。

(b) 留保に對し他の締約國が異議を申し立てることにより、留保を付した國と當該他の締約國との間における條約の效力發生が妨げられることはない。ただし、當該他の締約國が別段の意圖を明確に表明する場合は、この限りでない。

(c) 條約に拘束されることについての國の同意を表明する行爲で留保を伴うものは、他の締約國の少なくとも一が留保を受諾した時に有效となる。

5 2及び4の規定の適用上、條約に別段の定めがない限り、いずれかの國が、留保の通告を受けた後十二箇月の期間が滿了する日又は條約に拘束されることについての同意を表明する日のいずれか遲い日までに、留保に對し異議を申し立てなかつた場合には、留保は、當該國により受諾されたものとみなす。

第二十一條 留保及び留保に對する異議の法的效果

1 第十九條、前條及び第二十三條の規定により他の當事國との關係において成立した留保は、

(a) 留保を付した國に關しては、當該他の當事國との關係において、留保に係る條約の規定を留保の限度において變更する。

(b) 當該他の當事國に關しては、留保を付した國との關係において、留保に係る條約の規定を留保の限度において變更する。

2 1に規定する留保は、留保を付した國以外の條約の當事國相互の間においては、條約の規定を變更しない。

3 留保に對し異議を申し立てた國が自國と留保を付した國との間において條約が效力を生ずることに反對しなかつた場合には、留保に係る規定は、これらの二の國の間において、留保の限度において適用がない。

第二十二條 留保の撤回及び留保に對する異議の撤回

1 留保は、條約に別段の定めがない限り、いつでも撤回することができるものとし、撤回については、留保を受諾した國の同意を要しない。

2 留保に對する異議は、條約に別段の定めがない限り、いつでも撤回することができる。

3 條約に別段の定めがある場合及び別段の合意がある場合を除くほか、

(a) 留保の撤回は、留保を付した國と他の締約國との關係において、當該他の締約國が當該撤回の通告を受領した時に效果を生ずる。

(b) 留保に對する異議の撤回は、留保を付した國が當該撤回の通告を受領した時に效果を生ずる。

第二十三條 留保に關連する手續

1 留保、留保の明示的な受諾及び留保に對する異議は、書面によつて表明しなければならず、また、締約國及び條約の當事國となる資格を有する他の國に通報しなければならない。

2 批准、受諾又は承認を條件として條約に署名するに際して付された留保は、留保を付した國により、條約に拘束されることについての同意を表明する際に、正式に確認されなければならない。この場合には、留保は、その確認の日に付されたものとみなす。

3 留保の確認前に行われた留保の明示的な受諾又は留保に對する異議の申立てについては、確認を要しない。

4 留保の撤回及び留保に對する異議の撤回は、書面によつて行わなければならない

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