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「無法大臣」の信任案または不信任案を提出せよ

平成21年9月16日に成立した鳩山内閣に、辛光洙(シン・グァンス)を含む「在日韓国人政治犯の釈放に関する要望書」を平成元年に韓国の当時の大統領盧泰愚に提出したことのある千葉景子と菅直人とが入閣した。千葉景子が法務大臣となり、菅直人が国家戦略局担当大臣となつたのである。

辛光洙とは、云はずと知れた、北朝鮮による日本人拉致事件に関与した容疑で警察庁が国際手配してゐる拉致の主犯である。その者の釈放を要望するといふことは、拉致を容認することであり、それを要望した者二名が入閣するといふことは、「拉致容認内閣」と云つても過言ではない。

千葉景子法務大臣は、さる9月29日の報道各社のインタビューで、辛光洙容疑者の釈放を求める嘆願書に署名したことについて「うかつだつた。誤解を招く結果となり、申し訳ない気持ちだ」と陳謝したとのことである。しかし、謝つて済むなら警察は要らない。こんなうかつな人物には法務大臣としての資質はない。菅直人に至つては、これについて沈黙してゐる。沈黙は拉致の完全容認である。ましてや、それが国家戦略局担当大臣といふのは呆れる。拉致容疑者を容認してきた人物が法務大臣や国家戦略局担当大臣に就任することは、仮に形式的には認められるとしても、その政治責任は絶対に拭へない。歴史観の表明といふ実害のない行為についても政治責任が問はれるのであれば、過去の拉致容疑者釈放要求行為といふ実害のある行為について当然に政治責任が問はれなければならないし、これらの者を解任しなければ鳩山内閣は拉致容認内閣となるので、速やかに両名を解任しなければならないはずである。

もし、来る10月26日に召集が予定されてゐる臨時国会において、なんらかの政府声明がなされ、それまでに解任がなされないのであれば、国会議員の全員は、衆参両議院でなんらかの決議をせねばならないのである。

それは、問責決議(不信任決議)か、あるいは信任決議かのいづれかである。それを怠ることは国会議員全員の政治責任が問はれることになる。問責決議などは、法的効力のある決議ではないが、政治責任を明確にするためには必要なものである。

野党は、両閣僚に対する問責決議(不信任決議)案を提出し、同時に、与党は、両閣僚の信任決議案を提出すべきである。不信任決議が否決され、信任決議が可決すれば、それは、この「無法大臣」の過去の行為を許すこと、つまり、拉致事件については、後になつて単に陳謝するだけで解決することを鳩山内閣が認めたことを世界に宣言することになる。さうであれば、小泉元首相と金正日との会談において、金正日が拉致を陳謝したのであるから、金正日の行為その他北朝鮮の国家犯罪としての拉致事件を許し、これを以て拉致事件の幕引きがなされたと宣言することと同じになる。国の内外においてダブル・スタンタードはとれない。二人の「無法大臣」を鳩山内閣が容認し続ければ、北朝鮮は、この鳩山内閣の立ち位置からして、当然に拉致問題は解決されたことになると宣言することになる。はたして鳩山内閣はそこまでするのか、といふことが問はれてゐるのである。

拉致問題を拉致被害者全員の解放といふ「原状回復論」で解決する意志のある国会議員は、与党に属してゐるか野党に属してゐるかを問はず、衆参両議院にいづれかの決議案を提出すべきである。与党議員ならば両閣僚の信任決議案を提出し、野党議員ならば両閣僚の不信任決議案を提出することが一般ではあるが、どちらが何を提出するかは法律的にも政治的にも決まつてゐない。私が仮に野党議員であれば、逆に、諧謔的に両閣僚の「信任決議案」を提出したい。つまり、「うかつ大臣」といふか「法無大臣」といふか、この千葉景子法務大臣と、「だんまり大臣」の菅直人国家戦略局担当大臣といふ、この二人の「無法大臣」の過去の行為について、事後にこの二人が陳謝することだけでその政治責任が免責できるのか、もし、これができるのであれば、これと同様の考へにより、金正日が過去に陳謝したことを以て金正日の政治責任を免責し、一切の拉致問題を解決したことを宣言しなければならなくなるので、その是非を問ふために、あへて自己の真意とは異なるが、両閣僚の信任案を提出するといふ趣旨の提案理由によつて、両閣僚の「信任決議案」を提出するのである。

そして、もし、衆参両議院において、この信任案を可決し、あるいは不信任案を否決すれば、我が国の法務大臣の名称を「法無大臣」と、国家戦略局担当大臣を「北朝鮮待命局担当大臣」とそれぞれ改称して、これら「無法大臣」の閣僚に支配された「無法国家」へと転落することになるのである。

この意見に賛同する多くの人々が、我々とともに、それぞれ地元選出の各議員に対し、来る臨時国会でのこの決議案提出に向けて懸命に運動されることを願ふ。

平成21年10月1日記す 南出喜久治

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