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連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百九十一回 反ワクチン・反マスク訴訟 その九

くすりには くすしちからを そなへども いまはさはりの ものとまがへり
(薬には奇し力を備へども今(現代)は障りの物(毒物)と紛へり)


日野市議会議員の池田利恵氏は、 令和4年2月13日告示、同月20日投開票の日野市議会議員選挙で当選しました。


池田氏の今回の選挙は当初から重大な意味のある選挙でした。


池田氏は、子宮頸がんワクチン接種によつて大きな後遺症被害を受けた若い女性の家族に寄り添つて、その被害回復と職業斡旋などの活動を長く続けてきました。


13年前(平成21年)に、豚インフルエンザのパンデミックが広がつたときにもワクチン開発が叫ばれ、翌年(平成22年)には、ワクチン開発によつて人口削減を行ふとのビル・ゲイツ発言とそのためのワクチン開発の巨額投資が行はれ続け、直ぐに子宮頸がんワクチンの普及が始まつたことから、私が真つ先に、ワクチン開発の危険性を指摘したことに協力してくれた少ない地方議員の中の一人が池田市議でした。


それ以来、パンデミックの恐怖が意図的に煽り続けられ、令和元年12月には武漢ウイルスが、そして、翌令和2年には支那において新型豚インフルエンザウイルス(G4)が拡散し、次から次へとパンデミックが起こつてきます。


ビル・ゲイツは、今年2月18日の米CNBCとのインタビューで「新型コロナウイルスはその危険が顕著に減少してゐるが、また別のパンデミックが発生するだらう。新しいパンデミックは新型コロナウイルスとは違ふ病原体から始まる可能性が高い。」と話しましたが、これは彼の持論であり、ワクチン開発をして人口削減をするには、パンデミックが波状的に起こり続けなければならないのです。生物兵器をまき散らし続けることがワクチン開発とワクチン利権にとつて絶対に必要なことなのです。


ワクチン開発には、これほどの危険性があるにもかかはらず、政府与党は、今回の武漢ウイルスワクチンについてもその危険性を無視して、ワクチン利権に目が眩み、脇目も振らずにワクチン接種に前のめりになつてゐます。

令和3年2月9日に、自由民主党政務調査会の政策決定されてゐないにもかかはらず、新型コロナウイルス感染症対策本部、社会保障制度調査会及び新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチームによる「第1次提言 COVID-19ワクチン接種体制の構築へ向けた提言」が出され、同月17日からはファイザー製ワクチンの接種が始まります。


このやうに、国民の命と健康を守るためには、ワクチンの安全性についての疑問について誠実に検討しなければならないのが、責任政党であるにもかかはらず、それを一切議論させないことになつたことに対する疑問と良心的批判を池田氏が行つたことに対して、自民党東京都連から池田氏はパワハラを受け続けてきました。


そして、池田氏が名古屋で講演会に招かれて、マスクを着用しない参加者にマスクの着用を奨めなかつたといふ理由で、自民党員を除名されられるといふ事態に至りました。


これを違法であるとして池田氏が私を代理人として訴訟を提起したことは、みなさんご承知の筈です。


そして、今回の市議会議員選挙は、自民党からの除名処分を受けた後の初めての選挙であり、これまでの市議選とは大きく事情を異にしました。


前回の平成30年2月18日に執行された日野市議会議員選挙においては、池田氏は自民党の党籍のある自民党推薦の無所属候補として、子宮頸がんワクチン禍の被害者に寄り添つて、その救済運動を続けてきた成果を評価され、その得票数は1,908票でした。


ところが、今回は池田氏の立場が大きく変はり、武漢ウイルスワクチンの危険性について警鐘を鳴らし、マスク着用の有用性に疑問を呈したことだけで自民党の反感を買ひ、池田氏が招聘された名古屋での講演において、マスク不着用の参加者にマスク着用を推奨しなかつたことなどを党則違反であるとする自民党日野総支部長の西野正人氏のこじつけにより自民党を除名させられた結果、池田氏は、非自民党(反自民党)の無所属候補として選挙に臨んだのです。


前回の平成30年2月18日執行の選挙では、投票者総数63,071人、投票率41.64%で、池田氏の得票数は1,908票でしたが、今回の選挙では、投票者総数62,833人、投票率40.66%で微減したにもかかはらず、池田氏の投票数は前回の得票数を大きく超える2,278 票で当選しました。


これは、原告のこれまでの子宮頸がんワクチン禍の救済活動の延長線上の活動として、今回のワクチンの危険性を訴へて活動してきた池田氏を応援する多くの市民が原告を支持した得票数であることに重みがあります。


自民党は、今回の選挙では、あたかも国政選挙並みに、自民党所属の複数の女性国会議員を頻繁に送り込み、ありとあらゆる方法で池田氏を落選させるために露骨な妨害などを行ふ選挙戦を展開しましたが、池田氏は、そのやうな逆風の中でも、マスク不着用に藉口した恣意的な除名処分の違法性などを市民に訴へて選挙を闘つた結果、熱烈な市民の支持によつて当選したのであり、これは、自民党の行つた除名処分が政治的にも不当であることを民意が明確に審判したことになつたのです。


その前哨戦が、昨年の令和3年7月4日の東京都議会議員選挙でした。現職の自民党公認候補の西野正人氏は、2万票を大きく割り込む惨敗であり、それは、池田氏が西野正人氏によつて自民党を除名されられたことを糾弾する落選運動を展開した結果でした。


今回の日野市議会選挙における自民党のなりふり構はない池田氏に対する妨害行為は、その報復のためだつたのです。


池田氏のこれまでの選挙では、ビラやポスターなどでの市民の反応はよかつたのですが、今回は反応が芳しくありませんでした。選対にも不安が走りましたが、これは自民党や周り近所に対する遠慮があつてステルス化したと考へてゐましたが、やはりそのとほりでした。前々回のアメリカ大統領選挙で有権者がトランプ支持を表向き表明できなかつたこととよく似た現象でした。


しかし、そんな逆風の中での選挙でしたが、見事当選しました。圧勝と言つても過言ではありません。


自民党は、現職1人と新人1人とが入れ替はつただけで、党勢は停滞しましたし、共産党は現職1人が落選し退潮したといふ激戦での圧勝でした。


また、この選挙戦の最中で、奇妙なことが発覚しました。


それは、自民党における露骨なダブルスタンダードが露見したことでした。


西野正人氏が、マスク不着用の三密状態となつてゐる集合写真を自己のフェイスブック(https://www.nishino1.com/2022/2022_01.html#2022_0201Facebook)に公然と掲載したことです。


池田氏の除名処分は、池田氏がマスク着用を集会の参加者に促さなかつたことなどを理由としたものでしたが、その処分を行つた首謀者である西野正人氏は、マスク不着用の行為を平然と行つてこのことを誇示してゐるのです。


そして、自民党はこれを容認して、西野正人氏に対する除名処分などは一切してゐません。これは露骨なダブルスタンダード(二重規範、二重基準)です。


第184回の「反ワクチン・反マスク訴訟 その六」で述べました「部分社会論」について、もう一度思ひ出してほしいのですが、池田氏が自民党を訴へてゐる訴訟の訴状で、最高裁判所第三小法廷の昭和63年12月20日判決は、部分社会論が憲法上に根拠のない見解に基づくものであり、「一般市民法秩序」なる概念によつて判断することが徐々に破綻してきたために、いまでは通用力を失つてしまひました。しかし、仮に、この判例に従つたとしても、このダブルスタンダードは公序良俗や条理といふ一般条項に反しますので、池田氏の除名処分は違法と認定されることになります。


この判例は、かう述べてゐます。


「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり、他方、右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であつても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則つてされたか否かによつて決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」

と言つてゐるのです。


「当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則つてされたか否かによつて決す」ることになれば、池田氏の除名処分は、まさに公序良俗及び条理に違反し、かつ、適正な手続によらずしてなされたものですから、当然に司法審査の対象となり、違法なものであるとして取り消されるべきものなのです。


いづれにしても、池田氏の当選が、自民党、そして国政に対するボディーブローになります。ボディーブローといふのは、肝臓を狙つて打つ「レバーブロー」のことです。直ぐには死なないが、じわじわと死に至る打撃を与へることです。


昨年8月22日の横浜市長選挙で、菅義偉首相が強力に支援した小此木八郎氏(元国家公安委員長)が惨敗したことが、菅義偉首相の退陣の遠因になつたのも、これがボディーブローだつたのです。


日野市議会議員選挙は、横浜市長選挙ほどの極端に影響はないとしても、マスク不着用による除名処分を行つた自民党が、そのことを隠蔽する方法として池田氏を落選させて口封じしやうとしたものの失敗し、しかも、これからのワクチン3回目接種が低調となつてワクチン行政の矛盾が拡大して、反ワクチン訴訟などが進展して行くといふ合はせ技によつて、自民党、公明党の与党やその他全野党の大政翼賛会に綻びが出るやうになる契機となるのが、今回の日野市議選の結果だつたのです。


この選挙は、来る7月の参議院選挙への前哨戦と位置づけられる実質的な国政選挙だつたのであり、これから大きな山場を迎へることになります。

南出喜久治(令和4年3月1日記す)


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