國體護持總論
トップページ > 著書紹介 > 國體護持總論 目次 > 【第二巻】第二章 大東亞戰爭と占領統治 > 第五節:占領統治の經緯とその解説

著書紹介

前頁へ

昭和二十一年九月

 

一日、マッカーサーは、日本の炭鑛國有化問題の審議を提案。

 十一日、GHQは、連合軍將兵が日本人の財産に與へた損害の賠償請求權を否定。

 二十三日、復員廳などが、集計の結果として海外殘留者數を二百七萬人と發表。

 二十四日、マッカーサーの命によりホイットニー民政局長とケーディスが吉田茂を訪問。成年者による普通選擧と國務大臣の文民規定について指示。文民規定については衆議院の審議において決着したはずのものが、極東委員會からの強い要請であるとされた。

 これは、極東委員會において、政府案(衆議院可決案)の第九條が曖昧であるとの判斷から、武裝解除の實效性を高めるには、内堀(第九條)だけではなく外堀(文民條項)が必要であると判斷したためである。支那「事變」は「戰爭」でないとしたやうに、戰爭抛棄條項だけでは將來における軍事行動を阻止しえないとの懸念(中國代表)を踏まへてのものである。

 同日、GHQは、財閥解體に關する具體的な方針を發表し、三大財閥所有の證券類を持株會社整理委員會に移管。

 二十五日、極東委員會(FEC)は、憲法問題に關する追加決定を發表。「極東委員會は、新日本憲法の基本諸原則において定められた、すべて閣僚は文民であらねばならぬとの從前の決定を再確認し、更に政策の問題として、參議院は衆議院に對してなんらの優先性を持つてはならないと決定する。委員會は、このやうな優先性が定められないことを確保するために施行法をきわめて注意深く檢討する權利を引續き有することを重要と考へる。」とするものである。

 同日、文民規定(占領憲法第六十六條第二項)に關して、政府は、貴族院に對し、衆議院での長い審議日數を要したことから早急に成案とするために、これを貴族院の特別委員會での修正とすることにし、衆議院の方は必ずその修正で成立させるとの方針により貴族院に指示した。

 二十六日、貴族院では、特別委員會での質疑を終了。

 二十七日、ケーディス・佐藤會談。ケーディスは、佐藤達夫に對し、二十四日での修正事項に關する具體的指示と協議を行ふ。

 二十八日、貴族院の特別委員會で憲法改正小委員會(祕密懇談)を設置(二十八日から十月二日まで四回開催)。

 三十日、三井・三菱・安田、正式解散を決定。


続きを読む