國體護持總論
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著書紹介

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昭和二十三年二月

二日、平野力三が東京地方裁判所に對し、平野力三に對する公職追放指定の效力發生停止の假處分申請をなし、同地裁(民事十四部)の新村裁判長は、これを敢然と受け入れて申請を認容し、追放處分停止の假處分決定を發令する。これに對し、片山内閣は、この東京地裁の假處分決定が司法權による行政權の纂奪であつて違憲であると聲明を出した。GHQ(GSのホイットニー局長)も三淵忠彦最高裁判所長官(初代)を呼びつけ、この假處分命令を取り消させろと迫つたが、正規の訴訟手續によらずに取り消せないとしたものの、公職追放事件につき我が國の裁判所は管轄權を有せずとの談話を發表することを承諾して、その旨を發表した。

 同日、GHQは、炭鑛勞働者と供出米完納農家に、米國製タバコを配給すると發表。

 四日、GHQが、外國投資家の來日と恆久的居住を許可。

 同日、セイロン(スリランカ)がイギリスから獨立。

 五日、GHQ(ホイットニー)は、平野力三の假処分事件について、直接に東京地方裁判所の所長に命じて、二日の假處分決定を取消させ、假處分申請を却下する決定をなさしめた。つまり、この時點においても「司法の獨立」を含む占領憲法の實效性は全く否定されてゐたことになる。まさに、司法の獨立はおろか、司法を含め、他の全ての國家機關がGHQの隷屬下にあつたといふ嚴然たる事實があつたといふことである。

 七日、新警察制度發足。

 十日、片山哲内閣が、社會黨の左右兩派の對立により、九か月で總辭職。芦田均内閣成立(民主、社會、國民協同)。

 十一日、地方自治體警察が発足。

 十六日、内閣が、義務教育漢字八百八十一字を告示。

 同日、米國は、岸信介らA級戰犯容疑者の裁判を放棄。

 二十一日、衆議院が芦田均を、參議院が吉田茂を、それぞれ首相に指名。兩院協議會が開催される。

 二十六日、韓半島北緯三十八度線以北に朝鮮民主主義人民共和國が成立(主席・金日成)。アメリカはこれを非難。

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