國體護持總論
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著書紹介

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後發的有效論の場合における國内法上の責任

次に、後發的有效論の場合は、占領憲法がいつ有效になつたかによつて個別に檢討する必要があるが、その時期を桑港條約の發效時(昭和二十七年四月二十八日)とすると、これと同時に戰爭状態は終結すると同時に、それまでは帝國憲法が效力を有してゐたといふことになるので、やはり帝國憲法第三條で責任はない。また、桑港條約の締結時(昭和二十六年九月八日)から占領憲法が有效となるとすると、やはりそれまでは帝國憲法第三條の問題であり、締結から發效(昭和二十七年四月二十八日)までの七か月餘の間の責任を檢討することになる。しかし、この間は、やはり國に交戰權もなく占領憲法第四條で天皇に責任がないことになるので、結論的には同じである。その他の後發的有效論に屬する有效説も、有效化した時期に若干の相違があつたとしてもほぼ同樣の議論となり、いづれの見解であつても、その論理的檢討過程は異なつても結論的には始源的有效論と同じことになる。

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