自立再生政策提言

トップページ > 自立再生論02目次 > R02.12.15 第百六十一回 飽和絶滅の危機 その五

各種論文

前の論文へ | 目 次 | 次の論文へ

連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百六十一回 飽和絶滅の危機 その五

ほやのきが はげしくしげる そのはてに さくらほろびて ともにつひゆる
(ほやの木(宿り木)が激しく茂るその果てに桜(宿主)滅びて共に潰ゆる)


ほほづきのやうな真つ赤な目をした8つの頭、1つの胴、8つの尾を持ち、背には杉、檜、苔が生ひ茂り、身は8つの丘と谷を覆つたとされる八岐大蛇(ヤマタノヲロチ)といふのは、何を意味するのでせうか。


8の数は、数の多いことを意味しますので、8の数字に拘ることはないとしても、その八岐大蛇の尾をスサノヲが裂いて天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)草薙剣(くさなぎのつるぎ)を得ますが、ここでは、これが通貨発行権に比定することになります。


八岐大蛇は、出雲の簸川(ひのかは)(斐伊川)に住み着いてゐましたが、これは、大暴れする洪水を意味するとか、その上流域では砂鉄が豊富に採れるので、たたら製鉄といふ日本古来の砂鉄精錬炉から天叢雲剣が作られたなど言ふ人が居ますが、こんな考へは、一言で言ふと、貧弱な発想に過ぎません。


わが国には、雛形といふ教へがあり、極小から極大へ、極大から極小へと、発想は、拡大したり収束したりするものです。


記紀にしか描かれてをらず、出雲国風土記には全く登場しないこの伝承は、出雲もまた何かの雛形である可能性があるのです。


閑話休題。


ところで、世界が飽和絶滅の危機から救はれるための第一歩は、通貨発行権を国家が取り戻すことであると言ひました。


そして、スサノヲノミコトが復権して国際オロチを退治するかのやうに、わが国だけでなく、世界各国が、まづは、この通貨発行権を国際オロチから自国に取り戻さなければなりません。


それを実行するためには、もう一度、法令の基本を押さへておく必要があります。


前にも述べました、占領憲法第83条には、


「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」


とあります。


この「財政を処理する権限」の中には、広義において通貨発行権は含まれます。国際オロチの圧力で、通貨発行権といふ文言は削除されたものの、逆に、通貨発行権が国家にないといふ明文規定は設けられなかつたのです。


そして、帝国憲法下で成立した昭和17年の日本銀行法(昭和17年法律第67号)で、通貨発行権を国家から日本銀行といふ非国家の法人に委譲させたままで、占領憲法下でも、これを占領憲法下の法律として受継させることによつて、国際オロチは目的を達成したのです。


通貨発行権は、帝国憲法には明文はなかつたとしても、天皇の統治権(第4条)に含まれますので、日本銀行を設立させて通貨発行権を委譲することも形式上は可能だつたので、旧・日本銀行法が成立したのです。


占領憲法は、帝国憲法の改正法として成立したといふことになつてゐるのですから、旧・日本銀行法は、占領憲法下でも法律として認められることになります。


そして、やうやく平成9年になつて、旧・日本銀行法が全面改正されたのですが、通貨発行権を国家が日本銀行といふ「非国家」の法人に委譲し続けてゐることに変はりはありません。


占領憲法第83条には、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」とあるので、平成9年になつて、通貨発行権を非国家の法人である日本銀行に委譲する日本銀行法の全面改正をすることができる根拠になりました。


しかし、憲法事項である通貨発行権を日本銀行に丸投げするといふのは、法律事項を政令以下に丸投げする「白紙委任」の違憲性以上に違憲な行為です。


それゆゑ、平成9年の日本銀行法は違憲無効であるといふ議論があつても当然なのですが、誰もそれを恐れて問題提起しません。


山口薫・同志社大学大学院ビジネス研究科教授は、これまで貨幣の科学的解明がタブーとされてきたマネタリー・イシュー(貨幣問題)に触れたことによつて大学を追はれたと述べてゐるやうに(『公共貨幣』)、いま、政治家は勿論のこと、メディアなどで露出してゐる経済学者、憲法学者、政治学者などすべての言論人は、臆病で保身の術に長けてゐる嘘つきばかりで、このタブーには挑戦しません。そんなことをすれば、職を失ふので、死んでもできないのです。保身のために国を売る者ばかりです。


これは、占領憲法が憲法として無効であるとか、効力論争をすべきであると主張すると、大学などの学術界やメディアなど、すべての言論界から排除されるのと同じです。


しかし、日本銀行法は違憲無効であり、通貨発行権を有する日本銀行の出資者は一部の者に過ぎず、その者に特権があるといふのは公平性、平等性の観点から理解できません。全部を政府出資とすべきことを多くの人が声を上げる必要があります。


さうして、日銀を解体して政府機関とすれば、通貨発行権が国家に専属します。

通貨発行権の帰属は、通貨の本質についての問題であり、最終的な形態としては、『國體護持総論』第六章(改訂版)で述べたとほり、個々の国民に通貨発行権を帰属させ、それを国家が代行するといふ通貨制度の形態にすべきです。


これまで、管理通貨制度といふ誤魔化しによつて、数字や統計の操作で勝手気ままに通貨供給量を決めてきたものの、リーマン・ショックや、この度の武漢ウイルス禍の騒ぎで、ジャブジャブと発行し、ダラダラと溢してきた通貨は、実体経済と金融経済とが分離して、いまや、実体経済で循環する通貨と、金融経済で循環する通貨とは、別のものとなり、別個の循環系を形成するやうになりました。


ですから、実体経済で循環する通貨は、実体経済が消費不況のために拡大しないどころか、縮小して行くので、不動産、証券、為替などの賭博場で行はれる賭博経済(金融経済)の方へジャブジャブの通貨が流れて、活況を呈する訳です。これまでは株価などが上がれば実体経済が好況と思はれてきた軽薄な経済理論が破綻し、実体経済と賭博経済とは、あっち向いてホイ、といふ関係になつてしまひました。


リーマン・ショックや武漢ウイルス禍で、世界の経済が沈滞してゐる中で、統計詐欺の中共だけが、それなりの経済成長があるやうに言はれてゐますが、話半分に聞いておく必要があるとしても、中共は、経済成長できると言へるだけのカラクリがあるからです。


それは「人民元」です。


そもそも、貨幣制度は、資本主義の要諦であつて、これによつて私有財産制による富の蓄積を生み、富の遍在と生産財の独占、階級形成の原因であるとするのがマルクス・レーニン主義の根幹理論だつたはずです。


そのため、レーニンは、その理論に忠実に、大正7年(1918+660)のロシア共産党(ボリシェヴィキ)第二綱領で、貨幣制度廃止の戰略目標を立てました。しかし、翌年(1919+660)に放棄しました。つまり、マルクス理論は、間違ひであり、実行不可能と認めたのです。本当は、このことを以てマルクス主義は破綻したのですが、誰もこれを認めようとはしなかつたのです。


毛沢東も同じで、結局は、共産党はこの破綻した矛盾を抱へたまま、貨幣制度を曖昧なままにしてきました。勿論、日本共産党もこの矛盾についてひた隠しにしてゐます。


では、この人民元といふのは何でせうか。


中共は、国家の上位に人民解放軍が存在し、そのさらに上位に、CCP(共産党。Chinese Communist Party)が君臨してゐます。CCPに支配される人民解放軍といふ軍事組織が中共(中華人民共和国)を支配してゐるのです。ですから、人民解放軍は、中共といふ国家も、人民元を発行する中央銀行も完全に支配してゐます。

つまり、人民元は、人民解放軍の「軍票」(軍用手票)なのです。中共は、人民解放軍の下部組織ですから、中共がWTOに加入しても、そのルールを守らないし、通貨発行に関する国際オロチの指示に従はないのも、CCPや人民解放軍は、世界のルールには拘束されないからです。


軍票の発行は、人民解放軍の専権事項であり、何らの制約もありません。一帯一路といふ人民解放軍による経済占領目的の軍事政策について誰からの指示も受けません。


ですから、どんなときでも軍票(人民元)を刷り続けて、世界にばら撒くので、中共の人民元の正体を知らない国家が、その支配下に組み込まれてしまふのです。


しかし、余り身勝手なことをして国際オロチを敵に回すと閉め出されてしまふので、国際オロチに媚びを売り、人民元を国際化する努力をした結果、平成27年11月に、人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(Special Drawing Rights, SDR)の構成通貨になりました。


これによつて、国際オロチの支配下に入りかけたのですが、完全に組み込まれる従属してしまふし、かと言つて、国際オロチと絶縁すると一帯一路が破綻するといふジレンマの状態になりました。そんな状況の中で、デジタル人民元の構想は、人民解放軍が国際オロチの掌握する通貨発行権の支配から逃れる方法として編み出されたものです。


今後は、武漢ウイルス禍の世界において、共産主義の抱へる貨幣制度の矛盾を隠蔽したままのCCP及び人民解放軍と、通貨の本質を隠蔽する国際オロチとの、同床異夢の関係がどのやうになつてゐくのかに注目すべきなのです。


国際オロチの尻尾に過ぎないビル・ゲイツは、世界人口を削減したいとの願望を持つてゐます。その手段として、ワクチン開発を推進してゐます。


ワクチンは、人口削減のためのものであり、子宮頸がんワクチンといふ、ダイレクトな不妊促進ワクチンだけではなく、現在のすべてのワクチンは、方法の如何を問はず、人口削減のためのものです。


そして、ワクチン開発の最終目的は、電子的ナノチップ「マーカー」を含むワクチンを、国際オロチに連なる者を除いて、人類全員に強制的に投与して、人口減少を確実に達成させ、人間の心まで支配して、奴隷化することにあります。


これは、徹底した優生思想であり、飽和絶滅の危機を回避する方法の一つです。国際オロチは、CCP及び人民解放軍と提携して、武漢ウイルスによるパンデミックを演出し、ワクチンの爆発な普及を企ててゐます。


国際オロチの目指すものは、世界の民をAIによる奴隷牧場でベイシック・インカムの手法で飼育し、電子的ナノチップで洗脳された全世界の民から、飽和絶滅の危機から救つてくれた救世主と崇められることです。

南出喜久治(令和2年12月15日記す)


前の論文へ | 目 次 | 次の論文へ